お葬式では聞きなれない言葉をよく耳にします。
葬儀用語を五十音順でまとめていますので、ぜひご利用ください。
祭祀とは、祖先をおまつりする儀式のことを指します。おまつりする儀式となるため、「祭り」と「祭典」と言い換えることもあります。ただし、「祭り」と「祭典」には季節や文化を楽しむことを目的として人が集まる、宗教と関係のない催しものを指す言葉でもあります。
よって、祭祀と祭典、祭りは本来の意味は同じであっても、使い分けられるケースが多いです。祭祀のなかでも、特に格式が高いことで知られているのが、天皇が執り行う祭祀である宮中祭祀です。宮中祭祀は、江戸時代よりも前の時代より、歴代の天皇に引き継がれてきた行事として知られています。
祭祀を主宰することになる祭祀主催者は民法で定められた権利となっており、祭祀相続により相続される形となっています。遺産分割協議の際に、次の祭祀主催者を決定するケースもありますが、以前の祭祀主催者が指名したり、その場の流れで決定したりするケースも多いです。
祭祀主催者は、お墓や仏壇などの祭祀財産の管理がメインとなり、そのほかにも代々受け継がれてきたしきたりを受け継いで守っていくことが使命とされています。祭祀主催者が葬儀の喪主を務めるケースが多いですが、必ずしも喪主とならなければならないことはありません。また、墓地を取得する場合に祭祀主催者の証明書が必要になるケースもあります。
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祭祀財産とは、祖先を祀るために必要な財産のことです。祭祀財産の代表例としては、以下のようなものがあります。
祭祀財産を引き継ぐ者である相続人は、基本的に1人だけとなりますが、誰が祭祀継承者になるかはについては慣習に従う形が一般的です。ただし、遺産相続時に相続財産を遺して亡くなった人となる被相続人の指定がある場合、それに従います。
もし、被相続人の指定がない場合で、さらに慣習も特になく利害関係にある者に争いがあるケースにおいては、家庭裁判所が定める形がとられます。また、家族からの同意書が存在する場合は、相続関係にない人物であったとしても祭祀継承者になれます。
なお、祭祀財産の場合は相続税がかかりません。よって、相続対策として生前の段階でお墓を購入しておくことで、課税対象となる現金を減らして相続税対策となるのです。ただし、ローンで墓石などを購入して完済前に亡くなったケースでは、残額は債務控除にはなりませんので注意してください。
斎場とは、儀式が執り行われる場所のことです。本来は、神道用語として祭祀や儀式を執りおこなう場所を意味していましたが、現代の日本においては主に葬儀を執りおこなう施設を指すケースが多いです。神道においては、恒常的に設置されている神社や、必要に応じて野外や仮設建物などを祭祀や儀式の場として使用する場合があります。
このような場所であっても、斎場と呼ぶことになります。特に、葬儀では死穢を嫌うため、神社では執りおこなえず死者の自宅などの場に神職が赴いて実施する場合が多いですが、この葬儀の場所のことも斎場と呼びます。
日本においては、斎場は葬式を指す場所を場合が多いです。
葬儀が自宅葬から会場葬に移行するにしたがって、葬儀会場として使われる場所が斎場を名乗るケースが増えたのです。ただし、範疇が曖昧であって葬儀を執りおこなう宗教施設なども含まれます。葬儀を執りおこなう場所として、大きく公営の施設と民間の施設に分類されます。
前者の場合は「斎場 ・聖苑」の名称を使うケースが多く、後者の場合は「会館・ホール」の名称を使う場合が多いです。なお、葬儀場や葬式会場、葬祭会館」と呼ばれる場合もあります。斎場では、葬儀に必要なものとして以下が準備されます。
ほかにも、葬儀を執りおこなうまでの間亡骸を安置する霊安室であったり、遺族や親族向けの控え室が用意されている斎場も多く存在します。
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西方極楽浄土とは、仏教において極楽の世界のことを指す言葉です。仏教書では、極楽は西方十万憶仏国土をすぎたところと記されているため、西を向いて拝むことは、極楽浄土に向かってお参りすることになるとされているのです。
極楽浄土は、浄土三部経の中にある仏説阿弥陀経で詳しく説かれています。はるかかなた昔において、阿弥陀さまが悟りを開いた後で西方十万億仏土の彼方に浄土を作り、現在もこの極楽浄土で人々を救うために説法しています。
極楽浄土の考え方は、お釈迦さまが生きている時代には存在しなかった考え方となりますが、中国の天台宗の教えの中では、浄土という考えが広まりました。これを契機に、日本にも持ち込まれて広がったとされています。
浄土の考えにおいて、この世を含めて六道は穢れた世界であることに対して、浄土の場合は悟りを開いた人だけが到達できる世界とされています。西方十万億仏土の彼方とは、とてつもなく遠い場所という意味というだけでなく、煩悩にとらわれている間は決して到達できない世界となるのです。
西方極楽浄土の場合、現在の世界での距離感や方向とは若干異なり、輪廻とは無縁の世界でありどの世界にも存在しないとされています。
逆さごととは、葬儀に関係する行為や飾りについて、従来の用途とは逆にして使用することを指します。逆さごととして有名なものとして、以下があります。
過去から、死という異常事態に対処するために、人間はさまざまな工夫をしてきました。これは、死を生者の領域から隔絶させるための演出とも言え、それが逆さごととして表現されてきたのです。死者の世界はこの世とはあべこべであると考えられており、例えばこちらが夜であれば向こうの世界は夜という考えが信じられていました。
そこで、かつて葬儀が夜行なわれたのも、死者が向こうの世界に渡るために明るいのがよいという考えのもとで、こちらの世界において夜に葬儀を執り行なうようになったと言われています。さらに、逆さごとには魔除けを目的に実施されているとも言われています。
逆さ屏風とは、故人の枕元に屏風を逆さまの状態に立てかけることを指します。逆さごとの一種であり、葬儀において通常とは逆にする行為の一種となります。
逆さ屏風は故人に悪霊がとりつくことを防止する魔除けの効果があるとされており、死後の世界が現在の世界とは逆の世界という意味によって、逆さに屏風を立て掛ける形が取られています。
三回忌とは、亡くなってから満2年経過した段階で執りおこなう法要のことです。亡くなった翌々年にとりおこなう形となり、形としては一周忌の次に執りおこなわれます。一周忌以降、三回忌からは回忌という数え方をすることが一般的になり、地域によっては三周忌と呼ばれるケースもあります。
四十九日や一周忌と並び、三回忌大切な法要と位置付けられており、故人の友人や生前に縁のあった方も招き盛大に執りおこなわれます。なお、三回忌のように定められた年に執りおこなう法要を年忌法要と呼び、以下が年忌法要となります。
年忌法要の場合、一般的には亡くなってから年数が経過するにつれて簡略化されていきます。ただし、三回忌の法要は四十九日法要に続いて大切な法要であるため、僧侶や親戚に声をかけて、比較的盛大に執りおこなうケースが多いです。
三回忌法要は、大まかに以下の流れで進行します。
1. 僧侶入場
2. 法要開始
3. 読経・焼香
4. 法話
5. 僧侶退場
6. 会食
三回忌法要を執りおこなう目的としては、仏教の場合は亡くなった後7日ごとに生前のおこないについて裁きを受けて、49日目に生まれ変わる世界が決まるとされています。年忌法要においては、追加の裁きを受けることができるとされており、三回忌では遺族親族によって仏様のご加護を祈りつつ、故人がよりよい処遇を受けられるよう祈るために執りおこなわれるのです。
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三具足とは、仏具の呼称の1つであり、香炉と燭台(火立)、花立各一つずつで一組となる仏具を指します。本尊に向かって左側に花立を置き、中央に香炉、右側に灯立を置く形がとられます。なお、五具足の場合、香炉を中心に燭台一対、花立をその外に一対置き、左右対称の形とする必要があります。
それぞれの仏具には、以下のように大まかなサイズが決まっています。
材質としては、真鍮製がメインとなり磨きと呼ばれる無垢の状態のものや、漆を焼付けたものが存在します。磨きのものとしては、定期的に磨かない限り酸化して変色する傾向にあるため、金メッキを施したりセラミック加工したものも多いです。最近では、ステンレス製など現代様式のものや、純金製、純銀製のものも販売されています。
浄土真宗において、三具足は平時の荘厳作法のことを指します。浄土真宗における三具足は、以下のことです。
なお、燃香用の土香炉は含めない点がポイントとなります。浄土真宗では、仏具の形が各宗派で異なり、燭台は浄土真宗本願寺派では、焼き色をつけた燭台を使用します。真宗大谷派や真宗仏光寺派、真宗高田派では鶴亀燭台を用いますが、各派で形状は異なるのです。
真宗大谷派用の花瓶については、紋が入ったものが正式となります。もし荘厳するケースでは、鰭を正面に向けて牡丹紋が外側に八藤紋は内側になるように置くのが正式な作法となります。
散骨とは、一般的には故人の遺体を火葬したあとの焼骨を粉末状にし、海や空、山中などにそのまま撒く葬送方法を指します。撒骨と呼称する場合もあり、継承する子や血縁者がいないケースで墓を持ちたくないという理由であったり、自然復帰に対する願望の高まりより散骨を望む人が増加しています。
日本においては、長らく遺骨は骨壺に入れた形でお墓または納骨堂に納骨する形が一般的でした。海外においては、宗教上の理由などによって散骨を執りおこなう国があるものの、あくまでもごく一部の国に限られている状況です。ただし、現代では、故人の意向などにより散骨されるケースも多いです。
日本では長らく、遺骨は骨壺に入れてお墓か納骨堂に納骨するのが一般的でした。海外でも宗教上の理由などから散骨を行う国はありますが、それもごく一部です。日本における法律上では、特に散骨に対して禁止する法律が存在しないこともあり、散骨自体が罪に問われません。
正確には、遺骨を土に埋めない限りは合法となります。ただし、散骨の実施方法や場所によってはトラブルに発展するケースもあるため、注意が必要です。散骨は日本でも一般的になっていますが、遺骨を公共の場所に撒く行為に抵抗を感じる人が多いのは事実です。よって、自治体によっては散骨が条例で禁止されているケースも見られます。
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三社造りとは、神棚の代表的な造りの1つです。中心に天照皇大神宮があり、右に氏神、左に崇敬する神社のお札を置いて奉る形式となります。三社造りと似た造りの神棚としては、一社造りがあります。三社造りは、神棚は住人の生活空間より一段高い場所に配置するのが一般的です。
もし、2階建てで1階に配置するケースでは、神棚の真上に該当する部分には人が入れないように、家具などを設置するとよいでしょう。もし、身内に不幸があった場合は神棚に白い紙を貼付して、忌明けまで日々のお祈りも避ける神棚封じをおこなってください。
三十三回忌とは、故人が亡くなられてから満32年を迎える祥月命日に営む、年忌法要のことを指します。年忌法要とは、故人の没後初めて執りおこなう一周忌からスタートして、その後に3と7のつく年に執りおこない、三十三回忌をもって弔い上げとする場合が一般的です。
なぜ三十三回忌で弔い上げするかと言えば、主に以下の理由があります。
三十三回忌を迎えることで、全ての魂は極楽浄土へ行くことが許されると多くの仏教宗派で考えられているため
故人を知っている人が少なくなるため
遺族が高齢化することで三十三回忌法要の後も法要を継続していくことが困難になる場合があるため
三十三回忌の場合、法要は没後満32年目に執りおこなう形となります。よって、亡くなってから33年目の法要ではない点に注意が必要です。なお、故人が亡くなった日のことは忌日と言いますが、故人が亡くなられた日が1回目の忌日となるという考えで、回忌数から1を差し引いた年数となるのです。
弔い上げによって、合祀墓に移される場合もあり、三十三回忌は大きな節目となります。三十三回忌法要は、通常の法要よりも盛大に執りおこなう場合が多いです。実際に法要を行う日程としては、故人の命日に近い土日祝日を選ぶケースが多くなっています。
三途の川とは、此岸と彼岸の境目にあるとされる川のことです。三途とは仏典に由来しており、以下を意味しています。
なお、彼岸への渡川や渡航は、オリエント起源の神話宗教からギリシア神話に至るまで、広く見られるものであり三途川の伝承には民間信仰が多分に混じっているのです。三途の川の出典は、金光明経の「この経、よく地獄餓鬼畜生の諸河をして焦乾枯渇せしむ」から来ています。
この地獄・餓鬼・畜生を三途と呼び、これが広く三悪道を指して三途の川と称する典拠であるといわれています。一説には、三途の川の由来は初期には「渡河方法に三種類あったため」であるとも言われています。三途の川は、日本において実在することでも知られています。特に、以下の川が有名です。
また、日本では奈良時代に書かれた「古事記」において、三途の川を確認できます。
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在来仏教とは、日本において古来から根付いている宗派のことを指します。一般的には、以下13の宗派が在来仏教と呼ばれています。
ただし、実際には各々の宗派の中でもさらに56に分派されています。もし、細分化された宗派も大元が13の宗派のいずれかに該当するケースでは、在来仏教となるのです。13宗派において、最も新しいものである時宗でも、1276年の設立であり、日本古来から根付いてきた仏教と言えます。
なお、在来仏教には該当せず、新たに発生した宗派のことを新興宗教と呼びます。在来仏教に入らないものには、創価学会など現在地域に根付いたものも多く存在します。現代社会においては、霊園や墓地で宗教や宗旨、宗派は不問とされる場合が多いです。
ただし、在来仏教に限るとされる場合も多く存在しているため、自分が在来仏教であるかどうかは事前に確認した上で検討する必要があります。