お葬式では聞きなれない言葉をよく耳にします。
葬儀用語を五十音順でまとめていますので、ぜひご利用ください。
旅支度とは、故人の旅立ちの身支度のことを指す言葉です。仏教の教えにおいては、人が亡くなられると現世を離れて次の生を受けるまでの間で、中陰と呼ばれる期間があると考えられています。この期間は49日間となり、旅しながらあの世へと向かうのです。
旅としては、暗く険しい死出の山を越えるところからスタートして、途中に賽の河原や三途の川を渡らなければなりません。旅の間に7日毎に計7回の裁きを受けなければならず、生前のおこないの善し悪しに応じて、転生先の六道が決まるのです。
この来世までの旅を無事に終えることを目的として、遺族が旅の支度を整えることになります。旅支度は、故人を棺に納める儀式となる納棺の前に行うことになります。通夜の当日または前日に、湯灌や清拭などによって故人の身体を清めて、旅支度に必要な装束で整えた上で納棺となる形が一般的です。
旅支度で身に付けるものとしては、以下があります。
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玉串とは、神道の神事において参拝者や神職が神前に捧げる、紙垂や木綿を取り付けた榊の枝のことを指します。玉串には、櫟やガジュマルの枝などを使用するケースも多いです。また、神宮大麻の祓い串と同じイメージで、参拝の証として持ち帰って千度祓い万度祓いを執りおこなう場合もあります。
日本神話においては、天照大神が岩戸隠れしたときに玉や鏡などを取り付けた五百津真賢木を、フトダマが捧げ持ったという話があり、玉串の由来とされています。ただし、実際には神霊の依代が玉串の由来という説が有力です。
百人一首においては、「このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦、神の随に」と紙垂や木綿を付けない紅葉を玉串とした様子が詠われています。なお、神社に祈祷を依頼する場合に納める金銭のことを、初穂料のほかにも玉串料と記載する場合があります。
初穂料の場合、お礼やお守りなどを受ける場合の金銭にも使用しますが、玉串料は玉串の代わりに納める金銭という意味があるため、祈祷の依頼の際にのみ使用します。また、神葬祭の不祝儀袋の表書きも玉串料と書く場合が多いです。
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玉串奉奠とは、玉串拝礼とも呼ばれることがある、日本独自の宗教となる神道の儀式において度々おこなう行動です。玉串として神前にお供えするものには、おもに米や酒、塩、水などの神饌と同様の意味があると考えられています。ただし、相違点としては葬儀において玉串は玉串奉奠というお供物の形式で参列者が捧げて祭壇に拝礼しなければなりません。
玉串奉奠は、主に神式の葬儀で執りおこなうケースが多いですが、祈祷式や神道の結婚式に当たる神前式でもおこないます。祈祷式の場合、神主が祝詞を述べた後に玉串奉奠を執りおこなう形が一般的です。神前式では、新郎新婦だけでなく媒酌人や親族代表も玉串奉奠をおこなう必要があります。
玉串奉奠の作法としては、以下のステップで実施します。
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魂抜きとは、仏壇を動かしたり処分したりする場合に、事前に執りおこなう儀式のことです。魂抜きは、別名で以下のような名称で呼ばれる場合もあります。
多くの宗派において、仏壇には魂が宿っていると考えられています。魂が宿ったままの状態で仏壇を処分することには抵抗があるものです。そこで、仏壇を処分する前に魂抜きでお経を唱えてもらって仏壇に宿っている魂を抜く形が一般的です。仏壇から魂を抜いた状態となれば、ただの置物となるため処分への抵抗も薄れるので処分しやすくなります。
また、仏式で供養されてきた先祖への感謝の気持ちを表す意味でも、魂抜きの儀式は大切な意味があるのです。魂抜きは、仏壇だけでなく以下のようなものにも実施します。
魂抜きは、以下の形で依頼します。
自宅で魂抜きをおこなう場合、僧侶の手配やお布施お車料の準備が必要になります。また、お供え物としてお花や線香の他にも、果物もお供えされることも多いです。
単立とは、包括宗教団体に属していない、独立した宗教団体のことを指します。主に、単立寺院や単立神社、単立教会などのように、なにかしらの宗派や教派、上位組織に属していることが暗黙に前提される伝統宗教に対して、その前提に立つことがない特例的存在であることを示す場合に用いられる場合が多いです。
単立宗教団体とは、いかなる包括宗教団体の傘下にも属していない、単位宗教団体のことを指します。単立宗教団体のなかで、宗教法人として認証されたものが単立宗教法人と呼ばれます。
有名な単立寺院には、以下があります。
また、有名な単立神社には以下があります。
荼毘とは、遺体を焼いて弔うことを指します。ただし、一般的には荼毘ではなく火葬と呼ぶ場合が一般的です。ただし、火葬することを「荼毘に付す」ということを一般的に使用する機会は多いです。荼毘には、広義で言えば葬儀の意味も含まるものの、火葬は葬の字が市用意されているものの葬儀や告別式をするという意味はありません。
荼毘の荼(だ)は、曼荼羅にも使用されている漢字であり、雑草を表すだけでなく苦しみや害悪という意味があります。毘(び)は金毘羅にも用いられる漢字であって、助けるという意味が含まれています。曼荼羅には密教において悟りを開くために生まれた絵を指し、基本は円や正方形で複雑な模様が使用されています。
金毘羅とは、インドのガンジス川に住んでいたとされているワニを神格化した仏教の神様のことです。海の守護神とされ、日本では香川県の琴平にある金刀比羅宮 に祭られています。荼毘は、仏教用語となるために基本的に神道やキリスト教といった他宗教の信者の火葬では使用できません。
また、国や宗教によっては火葬を執りおこなわないケースもあり、仏教徒であったとしても土葬の場合には荼毘ではありません。
檀家とは、特定の寺院に所属してお布施や寄付などによって、寺院を経済的に支援している家のことを指します。檀家は、一方的に支えるだけでなく、見返りとして寺院は檀家の葬儀や法要、お墓の管理などを受けられます。
檀家という名称は、古代インドで使用されていたサンスクリット語のダーナという言葉が語源となります。ダーナには、施すや与えるといった意味があるのです。檀家は、布施を梵語のダーナの音写で檀那と呼んで、檀家が所属する寺院を檀那寺と呼びます。言葉上では、般民衆となる個々の檀家が寺院の経済的な支援者となるはずでした。
ただし、檀家制度においては寺院の権限は強い特徴があり、檀家は寺院に人身支配されていたと呼べるほどの力関係が存在していました。日本では、檀家制度は江戸時代からスタートしており、キリスト教を排除したい幕府によって制定された寺請制度が由来です。
寺請制度においては、寺院の檀家になればキリスト教徒ではないことを証明でき、代々檀家となった寺院を支えることを義務付けるものとなっています。幕府が仏教を強制したため信徒が増加して、寺院は信徒を管理する役所のような役割もあったのです。
檀家になることでメリットがある反面、以下の費用を負担しなければなりません。
また、近年は改葬に伴う離檀に関して寺側から高額な離檀を請求されるケースが増加しています。
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団体葬とは、故人が所属していた団体が執りおこなう儀式のことを指します。取引先や株主などが参列することになるため、規模の大きな葬儀になるケースが多いです。なお、公正取引委員会によって定められた、社葬の暫定的な定義は、以下のとおりです。
企業の創業者や会長、社長、そして社業に多大な功績を残した故人を対象として、顕彰の意味を込めて当該企業が主体となって執りおこなう葬儀。社葬に先んじて、遺族や親族による密葬が行われることが一般的。
遺族としては、事前に個別で密葬を執りおこなって、故人との別れの時間を設けるのが一般的です。遺族と企業がひとつの葬儀を執りおこなう葬儀のことを合同葬と呼び、葬儀費用は企業側が負担して損金算入できるため、企業側にメリットがあるのです。
また、従業員が葬儀の準備を進めることになり、従業員間の結束を強化できる効果があり、事業承継を周囲に知らせるという意味合いもあります。なお、社葬は以下の方が対象として執りおこなわれることが多いです。
社葬の場合、多くの従業員や企業関係者が参列することになり、数千人規模にケースもあります。よって、予測される人数次第では規模の大きな社葬会場を手配しなければなりません。会社負担金については、税務上は社葬費用として損金処理可能ですが、その要件として社葬の施行を決議した取締役会の議事録、及び社葬費用の基準を記した社葬取扱規程が必要です。
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