骨葬という言葉を聞いた事があるでしょうか?
皆様がイメージされる一般的なお葬式は、ご遺体があり、その前で読経などの宗教儀式を行い、その後火葬をしてお骨になるといった流れが一般的です。
骨葬とは、文字通り「お骨を用いて行うお葬式」になりますので、先に火葬を行ってお骨になった状態で行うお葬式のことになります。
では、どんな時に骨葬をするのでしょうか?また、骨葬を行うことにメリットやデメリットはあるのでしょうか?
この記事では、そんな骨葬について詳しく解説していきます。
骨葬に興味がある方や、骨葬を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
骨葬とはどのようなお葬式なのか
骨葬とは、前述した通り「先に火葬を行って、遺骨の状態で行う葬儀」になります。
骨葬として葬儀をする理由は様々ありますが、主に次の4つの理由で骨葬となります。
- 地域的な風習
- 宗教的な風習
- 遺体の状態が悪いケース
- 大規模な葬儀(密葬・本葬)のケース
- 遠方で死去した場合
各理由について、詳しく解説します。
骨葬を行う理由①地域的な風習
地域によっては(特に暑い地域や豪雪地域)、葬儀までご遺体を保全しておくことが困難であったり、葬儀を行う時間に合わせて火葬が困難である場合があります。
また、漁業や農業の繁忙期と重なるなどの理由の場合もあります。
このような地域的な理由や風習によって、葬儀に先だって火葬を行い、葬儀は骨葬で行われる地域もあります。
しかし、近年は様々な環境が整備されてきたことにより、上記のような理由で骨葬を行う地域は急激に減少してきています。
骨葬を行う理由②宗教的な風習
特定の宗教や特定の寺院の考え方やシキタリによって、葬儀を骨葬で行うこともあるようです。
ただし、これも地域の風習と同様に、近年は葬儀様式の一般化が進み、急激に減少してきていると言われています。
骨葬を行う理由③遺体の状態が悪いケース
現代日本の葬儀事情で、骨葬が行われる一番の理由が、この「遺体の状態が悪い」ことと言えるでしょう。
孤独死や交通事故、自殺といったケースが多く、遺体の損傷や腐敗が進んでいることから、臭いや見た目の問題からまともに葬儀を執り行えないと判断されると、先に火葬を行ってから葬儀を執り行う骨葬を提案されます。
また、近年では新型コロナウイルスにも代表される、特定の感染病で死亡された方の場合も、遺体のある状態で葬儀を執り行う事ができないため、先に火葬を行って後に骨葬として葬儀をおこないます。
骨葬を行う理由④大規模な葬儀(密葬・本葬)のケース
政治家、経営者、文化人などの著名人の場合、関係各位への連絡や式場の準備など、ご遺体のある状態での葬儀には準備が間に合わないケースがあります。
そうした規模の葬儀では、先に親族のみで「密葬」を行い、後に骨葬として「本葬」を執り行う方式が取られます。
骨葬を行う理由⑤遠方で死去した場合
自宅や実家から遠く離れた土地で死亡した場合、遺体の搬送を行わずに死亡地で火葬だけを行い、遺骨を遺族が持ち帰って自宅や実家の土地で葬儀を行う場合があります。
骨葬の基本的な流れは?
骨葬の基本的な流れは、次の通りです。
①死去
②搬送
③納棺
④火葬
⑤葬儀
以上が一般的な骨葬の流れになりますが、地域によっては下記の場合もあります。
①死去
②搬送
③納棺
④通夜
⑤火葬
⑥葬儀
このように、通夜までは普通の流れで執り行われ、葬儀の日の朝に火葬を行い、火葬を済ませた午後から葬儀を行うという地域もあります。
また、密葬・本葬の場合は次のような流れになります。
①死去
②搬送
③納棺
④通夜(近親者のみ)
⑤葬儀(近親者のみ)
⑥火葬
しばらく時間を空けて
⑦本葬(広く通知をして)
骨葬のメリット、デメリットについて
次に、骨葬で葬儀を執り行うことのメリットデメリットをご紹介したいと思います。
骨葬にはメリットもありますが同時にデメリットもありますので、骨葬を検討されている方は、どちらもしっかり認識していただいた上で検討されると良いでしょう。
骨葬のメリット
骨葬のメリットは、主に下記の4つになります。
①ご遺体の状態が悪い方などは、安心して葬儀をすることができる。
ご遺体の状態が悪い場合、先に火葬を済ませてしまうことにより、腐敗臭や体液の漏れだしなどを心配することなく、安心して葬儀をすることができます。
②葬儀まで時間を作ることができるので、会場選定や準備等に余裕ができる。
ある程度の規模の葬儀を行う場合、会場選定や準備・通達等に時間がかかる場合があります。
しかし、ご遺体がある状態の通常の葬儀の場合、日程を伸ばせても1週間くらいが限界とされます。
そのため、1週間では準備が完了しないような大規模な葬儀の場合は、密葬・本葬という形式で、先に火葬を行い本葬は後日にすることで、会場選定や準備に時間的余裕を持たすことができます。
③特にお別れ会などではホテルや公共の施設を利用することができる。
大規模な葬儀を実施する場合、その会場の候補としてホテルや文化会館などのホールが選択肢に入ってきます。
しかし、そうした施設の多くは「遺体」の搬入は禁止されているため、先に火葬を行って骨葬にすることで、そうした施設の利用が可能になります。
④遺体の搬送費用を削減できる
自宅や実家から遠く離れた土地で死亡した場合、遺体の搬送料金が高額になる場合があります。
意外にも比較的安価なのが飛行機を使った空輸になりますが、空路が使えず陸路で長距離の搬送をする場合、搬送料金だけで何十万円とかかってしまうケースもあります。
こうした場合、死亡した土地で火葬を行い、遺骨の状態で自宅や実家に持ち帰ることで搬送料金を削減することができます。
以上が骨葬のメリットと言えるでしょう。
骨葬のデメリット
次に、骨葬のデメリットをお伝えします。
骨葬の最大のデメリットは、「参列者が故人との対面ができない」という点と言えるでしょう。
そもそも骨葬は日本全体を見ればあまり一般的な方法とは言えません。
そのため、そうした葬儀であることを知らずに、葬儀当日だけに参列された方が、故人と対面してお別れをすることができないといったデメリットがあります。
特に親しかった方にとっては、故人のお顔を見てのお別れを希望される方が多くいらっしゃいますので、そうした方にとって骨葬はとても残念な想いをされてしまう可能性は高いと言えるでしょう。
また、多くの葬儀社では、火葬するまでの一連の流れは葬儀プランに組み込まれているため、火葬をするまでの行程と、葬儀をする行程とを別々に依頼することで、一部料金の重複が発生して割高になることもあります。
まとめ
この記事では、骨葬についてその方法や流れ、メリットデメリットなどについて解説してきました。
骨葬は今ではあまり一般的な方法とは言えず、多くの地域で実施されていません。
そのため、馴染みのない方も多く、その方法にご理解をいただけないケースもありますので、特別な事情がない限りは、あまり推奨されることはありません。
骨葬を検討される方は、そうしたメリットやデメリットを十分理解された上で、あなただけではなく、周りの方への影響も考えて選択されると良いでしょう。