父が亡くなり、母が喪主となって家族葬を行うことになりました。そろそろ死が近いことは病院から伝えられていたため、葬儀場は決めていました。父には話していません。母と私の中での話でした。
今まで一度も訪問したことはなかったのですが、国道を車で走っている時に外観を見たことはありました。病院で見たパンフレットにこの葬儀場の写真がありました。築年数の浅い建物だったので、とてもきれいでした。内装もトイレも清潔感があり、使用しやすかったです。
葬儀社の方は、こちらの都合に合わせて動いてくれました。時間や日にちはもちろん、持ち込みしたものなどです。特に印象に残っているのは、父の衣装です。母は、生前着ていた羽織袴を着せたいと伝えました。着せようと努力はしたものの、死後硬直が始まっていてうまく着せることはできませんでした。すると、担当者が上から着ているように羽織らせようと言ってくれました。
そして、病気でやせてしまった頬をふっくらさせてくれ、遺影のような穏やかな顔になりました。こちらの希望で、お花を御棺にたくさん入れてあげて、出棺前に謡いで送り出しました。通常よりも時間はかかったと思うのですが、急かされることなく、ゆったりとした時間を持つことができました。思い残すことがないくらい素敵な葬儀でした。