お彼岸は、亡くなられた方を供養する、大切なイベントです。
お彼岸には、故人に対してお供えものをする形が一般的となっています。
ただし、どのタイミングでどのようなものをお供えすればよいのか悩むものです。
また、遠く離れた場所に住んでいるケースでは、郵送によりお供え物をお渡ししたいケースもあります。
では、具体的にどのようにお供え物をお渡しする形を取るべきなのでしょうか。
本記事では、お彼岸にふさわしいお供えものを紹介すると同時に、相場や郵送時のマナーなどを解説します。
お彼岸とは?
お彼岸について改めて解説すると、春と秋2回あるお墓参りやお供えしてご先祖様を供養する日のことです。
春のお彼岸は、3月の春分の日が中日となり前後3日間を含めて計7日間です。
また、秋のお彼岸については9月の秋分の日が中日となって、前後3日間の計7日間を期間を指します。
春分の日と秋分の日については、国立天文台が歴象年表から天文学的な春分日と秋分日を算出して、前年の2月に官報で公表しています。
よって、必ずしも毎年同じ期間が設定されるわけではありません。
また、春彼岸と秋彼岸には主に以下のような意味があります。
- 春分の日:自然をたたえて生物をいつくしむ日
- 秋分の日:祖先を敬って亡くなられた人々をしのぶ日
お彼岸という言葉には、もともと仏教における到彼岸(とうひがん)と呼ばれる教えに由来しています。
到彼岸とは、煩悩や迷いが多い此岸より、悟りの世界とされている彼岸へと至ること、またそのために必要となる修行のことです。
到彼岸自体は、古代インドで使用されていたサンスクリット語のparamita(パーラミタ)の翻訳です。
意味としては、文字通り彼岸に到達するという意味があります。
2024年以降の春彼岸と秋彼岸
お彼岸の場合、初日を彼岸入り(ひがんいり)、真ん中の日は中日(ちゅうにち)、最終日のことを彼岸明け(ひがんあけ)と呼びます。
先に紹介した通り、国立天文台が歴象年表より天文学的な春分日と秋分日を算出して決定しますが、2024年以降では以下のようになっています。
春彼岸 | 秋彼岸 | |||||
彼岸入り | 春分の日 | 彼岸明け | 彼岸入り | 秋分の日 | 彼岸明け | |
2024年 | 3月17日(日) | 3月20日(水) | 3月23日(土) | 9月19日(木) | 9月22日(日) | 9月25日(水) |
2025年 | 3月17日(月) | 3月20日(木) | 3月23日(日) | 9月20日(土) | 9月23日(火) | 9月26日(金) |
2026年 | 3月17日(火) | 3月20日(金) | 3月23日(月) | 9月20日(日) | 9月23日(水) | 9月26日(土) |
2027年 | 3月18日(木) | 3月21日(日) | 3月24日(水) | 9月20日(月) | 9月23日(木) | 9月26日(日) |
2028年 | 3月17日(金) | 3月20日(月) | 3月23日(木) | 9月19日(火) | 9月22日(金) | 9月25日(月) |
2029年 | 3月17日(土) | 3月20日(火) | 3月23日(金) | 9月20日(木) | 9月23日(日) | 9月26日(水) |
2030年 | 3月17日(日) | 3月20日(水) | 3月23日(土) | 9月20日(金) | 9月23日(月) | 9月26日(木) |
以上のように、大きな違いはないものの1日程度ずれるケースがあるため、毎年スケジュールをよく確認してください。
お彼岸にすること
お彼岸には、主に以下のことをおこなうケースが多いです。
- お墓掃除・お墓参り
- お仏壇のお参り・お供え
- 他家へのお参り・お供え
彼岸を迎えるに辺り、お墓の掃除は欠かせない行動の一つです。
春と秋のお彼岸は季節の変わり目となる関係上、お墓掃除に最適なタイミングとなります。
また、ご先祖様が最も極楽浄土から交流しやすいタイミングであるため、先祖に感謝を捧げる目的でお墓参りをおこないましょう。
同時に、お墓だけでなくご先祖様への感謝の気持ちを込めて込め、仏壇にお供えをしてください。
これは、自分の家だけでなく親族などの家に出向いておこなうケースも多いです。
ほかにも、菩提寺で執りおこなわれる彼岸会に参加される方もいます。
お彼岸に適したお供えもの
お彼岸で仏壇にお参りする場合、お供え物をあげる形が一般的です。
お彼岸のお供え物としては、以下が定番となります。
- ぼた餅・おはぎ
- お彼岸団子
- お花
- 故人の好きな食べ物
- 季節の果物・精進料理
- 現金
各お供え物の詳細は、以下のとおりです。
ぼた餅・おはぎ
お彼岸の定番となっているお供えものとして、ぼた餅とおはぎが有名です。
ぼた餅とおはぎは基本的に同じ食べ物となりますが、季節によって以下のように名称が異なるのです。
- 春彼岸:ぼた餅
- 秋彼岸:おはぎ
なぜこのような名称が付いているのかと言えば、春に咲く牡丹の花に似ていることからぼた餅、秋に咲く萩の花に似ているためにおはぎと呼ぶようになったと言われています。
おはぎやぼた餅をお彼岸にお供えする理由としては、あんこの材料となる小豆には、魔除けや不老長寿の願いが込められているためです。
実際に、中国では古くより赤色には邪気をはらう力があると信じられており、日本においても赤色には特別な力があると言われています。
以上から、赤色である小豆は縁起がよい食べ物となっており、お彼岸にあんこを使用したお餅が供えられるようになったのです。
お彼岸団子
お彼岸の初日には、団子を供える風習があり、お彼岸団子とも呼ばれています。
お彼岸団子には、主に故人が極楽浄土に向かう旅の途中において、お腹が空いたタイミングでいつでも食べられるようにという意味があります。
また、お供えするタイミングで呼び方が異なり、彼岸入りに供える団子のことを入り団子、彼岸明けに供える団子のことを明け団子と呼ぶのです。
あの世から長い旅路を帰ってきたご先祖様をおもてなしし癒やすため、またあの世に戻る際にはご先祖様に団子をお土産としてお渡しする意味でお備えます。
彼岸団子は、地域によって形や積み方が異なる点も特徴的です。
お花
お彼岸に欠かせないお供えものとして、お花があります。
彼岸にお備えるする花のことを、供花や仏花と呼ばれるケースも多いです。
お彼岸に花を供える理由としては、ご先祖様に美しいものを捧げてお飾りする、花を供えることにより命の儚さや尊さを知るためなどの理由があるとされています。
基本的に、普段よりも大きなお花を供えることが多く、3,000円程度の価格帯で選ぶことが多いです。
また、個人が好きだったお花を供えるのが一般的で、季節によって以下のような花を供えるのもおすすめです。
- 通年:菊、胡蝶蘭、百合など
- 春彼岸:牡丹、キンセンカ、マーガレットなど
- 秋彼岸:ケイトウ、リンドウなど
故人の好きな食べ物
個人が好んでいた食べ物を、お供えするケースも多いです。
ただし、仏教の教えに従って、お酒や肉魚といった殺生を連想させるものは避けるのが一般的です。
一方で、お菓子や食べ物を供えることは特に問題ではありません。
季節の果物・精進料理
お供え物として、季節の果物を定番となっています。
お供えする果物の定番はリンゴやバナナとなりますが、以下のような旬の果物もおすすめです。
- いちご
- かんきつ類
- ビワ
さらに、桜をモチーフにしたお菓子も人気となっています。
また、精進料理として野菜や穀類、豆類、海藻、果実などを使用した一汁三菜の食べ物を供えます。
最近では、フリーズドライの商品を活用するケースも多いです。
現金
お彼岸のお供えものは、ものだけでなく現金を供えるケースもあります。
現金をそのままお供えするのではなく、香典の形で贈る場合もあります。
一般的な香典の相場としては、3,000円から5,000円程度となりますが、より故人との関係性か濃い場合は5,000円から10,000円程度が相場です。
香典と品物を一緒に贈るケースでは、総額で5,000円程度となるように調整してください。
お供えものやお布施の相場
お供え物をお渡しする場合、相場を意識して適切な金額のものを選定する必要があります。
ケース別で、主に以下のような相場となっています。
- 一般的なお供えものの相場:3,000円から5,000円程度
- 現金と品物を一緒にをお渡しする場合:総額が5,000円に収まる程度
- 生前にお世話になった方に対するお供えものの相場:5,000円から1万円程度
また彼岸のタイミングで法要を執りおこなうケースがありますが、その場合は僧侶にお布施をお渡しします。
お布施の相場は菩提寺との関係で変化しますが、合同法要では3,000円から10,000円と多生少ない金額でも問題ありません。
一方、個別法要のケースでは30,000円から50,000円が目安となるため、準備してください。
お布施を渡す場合は、白い無地の封筒に包んで裏に施主の住所と氏名を記載してください。
お供えものを郵送する際のマナー
遠方に住んでいてお墓参りしたり仏壇にお参りしたりできない場合、郵送でお供えものをお渡しするケースもあります。
もし、郵送でお供えものを送る場合、彼岸の入りや中日までに届くように手配してください。
彼岸が終わってから到着してしまった場合は、すぐに連絡をとって謝罪した後に改めてお供えものを送りましょう。
また、相手が受け取りやすいように、事前に郵送した旨を知らせておくのが親切です。
自分で準備した手紙を一緒に郵送したい場合は、信書便で送ってください。
まとめ
お彼岸は仏教的な意味合いが強いですが、ご先祖様のお墓参りや法要を執りおこなう形が一般的となっています。
日本独特の風習ですが、お墓参りしたり仏壇参りしたりして、故人に感謝の意を示すことが多いです。
今回紹介したように、適切なお供えものを準備して故人をおもてなしすることを忘れないでください。
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