葬儀の場では、喪主はさまざまな役割を果たさなければなりません。
特に重要となる場面として、挨拶するシーンがあります。
人前で話す機会が少ない方にとって、挨拶はとても緊張するものです。
また、何を話せばよいのか悩むものですが、喪主挨拶で失敗しないためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。
この記事では、お葬式の喪主挨拶で失敗しないポイントを、例文を用いて徹底解説します。
葬儀の流れについて
故人が亡くなった後、葬儀までの流れとしては以下の流れとなります。
- 家族や葬儀会社へ連絡する
- 遺体を安置場所に搬送する
- 葬儀の日程や内容を整合する
- 遺体を清めて棺に品物を納める
- 通夜式を執り行う
- 告別式を執り行う
- 近親者で骨上げする
- 換骨法要を執り行う
- 初七日法要を執り行う
最初に、志望した事実を家族や葬儀会社に対して連絡をおこないます。
なぜこのタイミングで葬儀会社に連絡するのかと言えば、安置場所への搬送や実際に葬儀を執り行う際に早めに決定するために必要であるためです。
その後、各種手続きを進めて遺体を安置場所に搬送します。
同時に、葬儀会社との間で実際の葬儀の日程や内容などを整合していきます。
そして、遺体を清めたうえで棺に品物を納める形をとるのが一般的です。
事前に整合した葬儀日程などについては、周囲にお知らせしておきます。
そして、実際に通夜式や告別式を執り行い、近親者で骨上げします。
さらに、換骨法要や初七日法要を執り行う流れで進行するのが一般的です。
上記の流れの中で、通夜式は一般的に以下のような時間で執り行われます。
内容 | 時刻 | 詳細 |
葬儀社との進行確認 | 16:00~ | 遺族に用意された控室で、着替えを済ませる。その後、受付の段取りや供花、供物、席次、焼香の順序などを葬儀社と最終確認する。 |
受付開始 | 17:30~ | 通夜が取り粉われる30分前を目安に、事前に用意した受付場所で受付を開始する。喪主や遺族は、通夜が開始する前に事前に会場で着席するが、開始以前までは参列者の挨拶に対応する。 |
通夜開始 | 18:00~ | 僧侶が到着して定刻になったら、通夜式を開始する。進行は主に葬儀業者側が行うため、喪主は大まかな流れだけを把握しておく。 |
読経・焼香
|
18:10~ | 読経の時間は、僧侶の意向や宗派などにより異なる。焼香は喪主を先頭に、遺族、親族、参列者と故人とのつながりが深い順に執り行う。部屋の広さや規模によっては、回し焼香の形で実施するケースもある。 |
通夜終了 | 19:00前後 | 通夜の終了時刻は参列者の数により前後する。一般的には、通夜開始から1時間前後で終了し、通夜振る舞いに移行する。 |
通夜振る舞い | 通夜終了から1時間程度 | 故人への供養とともに、弔問客への感謝の気持ちを表す席となり。僧侶にも同席を依頼し、遺族や親族が接待する。 |
通夜式では、本会のなかでは特に挨拶する機会はありませんが、通夜振る舞いにおいて喪主から挨拶を行うケースが多いです。
次に、告別式は以下のような流れで進行します。
- 喪主や遺族集合
- 受付開始
- 着席
- 僧侶入場
- 開式の辞
- 読経
- 弔辞拝受・弔電奉読
- 焼香(遺族・親族)
- 焼香(弔問客)
- 僧侶退場
- 閉式の辞
- お別れの儀・納めの儀
- 出棺
上記の中で、喪主の挨拶は告別式中や出棺の時に実施するのが一般的です。
さらに、葬儀終了後に精進落としを執り行うケースが多いですが、その席でも喪主が挨拶する形となります。
喪主が行う挨拶の例文
喪主が葬儀の際におこなう挨拶については、ある程度決まり文句が決まっています。
ここでは、それぞれのシーンに応じた挨拶の例文を紹介します。
通夜の挨拶
通夜において模試が挨拶する場合、おもに以下のような内容を盛り込みましょう。
- 弔問へのお礼
- 故人とのエピソード
- 通夜ぶるまいの案内
- 葬儀・告別式の案内
- お礼
では、具体的な挨拶の例文を見ていきましょう。
この度は、私たちの大切な家族や友人を失う悲しみを共有していただき、ありがとうございます。心より感謝しています。ご冥福をお祈りいただけますようお願いいたします。
今回の通夜に参列いただき、本当にありがとうございます。故人は多くの方々に愛され、生涯を全うされました。私たちも、その思い出を大切にしていきたいと思います。
このような悲しい場において、多くの方々から温かい言葉やお悔やみをいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。故人のご冥福をお祈りいただけますよう、心からお願いいたします。
故人を偲び、この通夜に参列いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。故人は愛する人たちとの思い出を大切にしていました。私たちも、その想い出を胸に刻んでいきたいと思います。
この度は、故人を偲び、お集まりいただきありがとうございます。故人は生前、多くの方々に愛され、心優しい人柄でした。私たちもその思い出を大切にしていきたいと思います。ご冥福をお祈りいただけますよう、お願いいたします。
皆様方、本日は非常に寒い中、[故人の名前]の通夜に足を運んでいただき、誠にありがとうございます。
[故人の名前]としては、彼/彼女が生前に受けたたくさんの恩恵や支えを感じながら、最期を迎えたことを心から感謝しております。また、彼/彼女は家族や友人、知人との関わりを大切にし、その人間関係を築くことに生涯をかけてきました。本日ここに集まってくださった皆様方が、彼/彼女の生涯の中での大切な人たちであることを改めて感じます。私たち家族としても、[故人の名前]の存在は大きな支えでありました。その彼/彼女を失った悲しみは計り知れませんが、今は皆様方と共にその思い出を振り返り、彼/彼女を偲びたいと思います。
本日は、心よりの感謝を申し上げます。どうか、[故人の名前]のことを温かく思い出していただけますと幸いです。
今宵、[故人の名前]のために足を運んでくださった皆様、心より感謝申し上げます。
[故人の名前]は、常に前向きで、困っている人を放っておけない性格でした。私たち家族にとっても、その存在は太陽のようで、常に明るく温かく家族を照らしてくれました。そんな彼/彼女の人生が、あまりにも早く終わってしまったことに、私たちは言葉もありません。しかしながら、今夜、ここに集まってくださった皆様方の顔を拝見して、彼/彼女がどれほど多くの人々と深い絆で繋がっていたのかを改めて実感しています。
私たち家族は、[故人の名前]が後に残してくれた思い出や教えを胸に、これからの日々を生きていく所存です。今宵は、彼/彼女を偲ぶとともに、皆様との絆を深める時間としたいと思います。
どうか、これからも[故人の名前]のことを温かい目で見守っていただけますよう、心からお願い申し上げます。
告別式の挨拶
告別式において、読経や弔辞、弔電の奉読、焼香などが終わったタイミングで、喪主が全体に向けて挨拶するのが一般的です。
おもに、故人のために参列された方に対して、故人とのエピソードを盛り込みつつ、自分の言葉で感謝の気持ちを述べます。
具体的には、以下のような挨拶を実施しましょう。
この度は、大切な家族や友人を失う悲しみを共有していただき、ありがとうございます。故人は多くの方々に愛され、生前には多くの人々の役に立つことを願っていました。今日は、故人を偲び、最後のお別れを言う場です。故人のご冥福をお祈りいただけますよう、心からお願いいたします。
故人の訃報を受け、多くの方々から温かいお悔やみの言葉をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。故人は生前、愛情深く人を思いやる心優しい人でした。今日は、故人を偲び、最後のお別れを言う場です。故人のご冥福をお祈りいただけますよう、心からお願いいたします。
故人を偲び、このような悲しい場において多くの方々からお悔やみの言葉をいただき、心より感謝しています。故人は多くの人々に愛され、尊敬される人物でした。今日は、故人を偲び、最後のお別れを言う場です。故人のご冥福をお祈りいただけますよう、お願い申し上げます。
故人を失った悲しみは、言葉に尽くせません。しかし、多くの方々からのお悔やみの言葉を受け、故人を偲ぶ場において、故人の素晴らしい人柄や思い出を共有できたことは、心強いものでした。今日は、故人を偲び、最後のお別れを言う場です。故人のご冥福をお祈りいただけますよう、心からお願いいたします。
このような悲しい場において、多くの方々からのお悔やみの言葉に支えられ、故人を偲ぶことができました。故人は多くの人々に愛され、生前には多くの人々の役に立つことを願っていました。今日は、故人を偲び、最後のお別れを言う場です。故人のご冥福をお祈りいただけますよう、お願い申し上げます。
皆様、本日は〇〇の告別式にお越しいただき、誠にありがとうございます。私は、故〇〇の長男・△△と申します。
〇〇は、生涯を通して家族を愛し、常に我々のために尽力してくださる方でした。子供の頃、私が遊びに行くとき、〇〇はいつも「気をつけて行って来い」と声をかけてくれました。その一言一言が、今となっては私の胸を締め付ける思い出となっています。
今日、ここには多くの方々が集まってくださり、〇〇がどれだけ多くの人々に愛されていたのかを改めて感じております。皆様から頂いた温かい言葉、そして支えは、我々家族の大きな励みとなります。
心よりの感謝を申し上げます。どうか〇〇のご冥福をお祈りくださいますようお願い申し上げます。
皆さま、今日はこのような時節にも関わらず、〇〇のために足を運んでいただき、ありがとうございます。私は、故〇〇の次女・□□と申します。
〇〇は、明るくて社交的な方で、私たち家族だけでなく、多くの方々と深い絆を築いていました。学生時代の話、旅行でのエピソードなど、〇〇の話はいつも楽しく、私たちはその話に囲まれて育ちました。
参列してくださる皆様の中にも、〇〇との思い出を共有してくださる方が多いことと思います。その温かい縁と絆に感謝いたします。
私たち家族は、これからも〇〇の教えを胸に、助け合い、支え合って生きてまいります。どうか〇〇の安らかなる永眠をお祈りいただきますよう、心からお願い申し上げます。
精進落としの席での挨拶
精進落としの席では、会食の始まりと終わりに喪主が簡単に挨拶します。
参加者に対して、葬儀を無事終えらたことに感謝を述べる形となり、以下のような挨拶がふさわしいでしょう。
この度は、故人のご冥福をお祈りするとともに、故人が大切にしていたものを忘れずに、精進落としを行いたいと思います。故人は、常に誰に対しても優しく、温かい心を持って接してくださった方であり、その人柄には多くの人々から尊敬と感謝の念が寄せられていました。今日は、故人の人生や思い出に思いを馳せ、精進落としを行い、故人の志を継ぐことをお誓いします。
故人を偲ぶことができるこの場にお集まりいただき、心より感謝申し上げます。故人は、常に前向きであり、人生の中で何度も困難を乗り越え、多くの人々から愛される存在でした。今日は、故人の生き方を模範とし、故人が大切にしていたものを忘れずに、精進落としを行いたいと思います。
故人が亡くなったという悲しみを共有しつつ、今日は故人を偲び、精進落としを行いたいと思います。故人は、常に自分自身よりも周りの人々を優先し、人のために尽くすことを心がけていた方であり、その姿勢には多くの人々から感動を与えられていました。今日は、故人の思い出を大切にし、故人が大切にしていた価値観を忘れずに、精進落としを行いたいと思います。
故人の突然の訃報に深い悲しみを感じていますが、今日は故人のために精進落としを行い、故人の思い出を大切にしていきたいと思います。故人は、自分のことよりもまず周りの人々を考える人柄であり、そのために多くの人々から信頼と敬愛を集めていました。今日は、故人の人生や思い出に思いを馳せ、精進落としを行うことで故人の志を継ぎ、故人の思い出を永遠に残したいと思います。
故人を失った悲しみは、今も尚深く感じておりますが、多くの方々からのご支援やご協力により、精進落としを行うことができます。故人は、常に謙虚であり、人々を思いやる心優しい方でした。今日は、故人を偲び、故人が大切にしていた思いやりや、謙虚さを忘れずに、精進落としを行いたいと思います。
謹んで故人へのご厚情と、この間の喪中におけるあたたかな御支援、御協力を心より感謝申し上げます。精進落としを迎え、徐々に日常へと戻るこの時期にも、故人を偲ぶ気持ちは変わらず、共に新たな日々を過ごしていきたく思います。
長い間の喪中を経て、今日は精進落としを迎えることとなりました。故人を偲び、皆様から頂戴した多くの御心遣いに感謝の気持ちでいっぱいです。これからの日々も、故人の思いを胸に、生きてまいりたいと思います。
喪中の期間中、多くの方々に支えられ、感謝の言葉も足りないほどです。精進落としを機に、日常へと戻る一歩を踏み出しますが、故人の教えや愛を忘れることなく、前に進んでまいります。皆様の変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
小物について
喪主の挨拶において、小物として原稿を用意したくなります。
基本的に、原稿を用意して挨拶するのは問題ありません。
ほかにも、一般的に葬儀時に身につけるものはそのまま着用して臨む形となります。
喪主の挨拶のNGワード
喪主の挨拶において、絶対に使用してはいけないフレーズがあります。
代表的なものとしては、以下は使用しないように注意してください。
- 重ね言葉
- 続き言葉
- 不吉な言葉
- 直接的な表現
重ね言葉とは、その名のとおり同じ言葉を重ねて使用することを意味し、以下のような言葉が該当します。
いよいよ
まだまだ
だんだん
重ね重ね
返す返す
くれぐれも
度々
しばしば
なぜ重ね言葉がふさわしくないかと言えば、不幸が重なることを連想させるためです。
口癖で使用するケースが多い言葉もあるため、くれぐれも使用しないようにしましょう。
次に、重ね言葉と同じく不幸が続くことを避ける意味で、以下のような続き言葉も使用してはなりません。
追って
追いかける
再び
再三
再三再四
再度
なお
ほかにも、死を連想させたり故人の死因に関わるような言葉として、以下のような言葉も使用しないようにしてください。
消える
落ちる
とんでもないこと
大変なことになる
とんだことに
死を連想する四・苦を連想する九
さらに、以下のような直接的な表現もふさわしくありません。
死亡
死ぬ
亡くなる
死去
急死
自殺
生きる
生存中
ご存命中
生存
言い換え可能な言葉もあるため、他の言葉に言い換えて使用してください。
喪主の挨拶で失敗しないポイント
喪主のあいさつで失敗しないようにするためには、事前に原稿を用意しておきましょう。
原稿を用意せず挨拶できるのが理想的ですが、実際に挨拶する際には緊張するものです。
また、つい重ね言葉や続き言葉を使用してしまうケースもあるため、事前に原稿を用意して添削した上で臨むのがおすすめです。
原稿を見ながら挨拶するのは、決して恥ずかしいことではありませんので、しっかりと準備しておきましょう。
また、内容は簡潔にまとめ長くても3分以内に収めるようにしてください。
故人との思い出などを話したくなる場合がありますが、あまりに長々と話してしまうと出席者を疲れさせてしまう可能性が高いです。
特に、位牌を持ちながらおこなう出棺時の挨拶などにおいて、葬儀参列者は野外で起立した状態で挨拶を聞くことになるため、参列者への配慮から長い挨拶は避けてください。
最後に、宗派によって使用してはならないフレーズがあるという点を意識して挨拶を考えてください。
例えば、神道やキリスト教における忌み言葉として、以下があります。
冥福
往生
供養
成仏
まとめ
葬儀において、喪主の挨拶は参列者の心に残るものとなります。
素晴らしい挨拶をする必要はないものの、最低限失礼に値するような挨拶や長すぎて参列者を疲れさせるような挨拶は避けなければなりません。
今回紹介したポイントに注意して、喪主として適切な挨拶を実施しましょう。
日本終活セレモニーでは、喪主の挨拶でお悩みの方に対しても、手厚くサポートさせていただきます。