故人が残した住居などが不要になる場合、家を売りたくなるケースがあります。
家はとても価値が高いのであり、一生に一度のお買い物となる場合が多いです。
そこで、売り手側からすれば少しでも高く売りたいと思うものですが、初めて家を売りたい場合にどのような手順で進めればよいのか悩むものです。
では、具体的にどのようなステップで家を売る手続きを進めればよいのでしょうか。
この記事では、初めて売る時の手順や注意点を解説します。
家を高く売りたい人にとって必見の情報満載ですので、ぜひ参考にしてください。
家を売る方法
家を売る場合、実は様々な方法があり最適な方法を採用する必要があります。
家を売る主な方法としては、以下があります。
- 仲介パターン
- 買取パターン
- 個人売買のパターン
各方法の詳細について、解説します。
仲介パターン
不動産を売る場合、自分ひとりで対応することが難しいものです。
特に、専門的な知識をもって対応しなければならないことが多く、また買い手を自分で見つけるのはかなりの手間がかかります。
そこで、不動産会社に仲介してもらい、買主を探してもらう方法があります。
仲介するパターンを採用すれば、不動産会社が買主を探してくれるので、専門知識がなくても自分の希望に近い形で売却できる可能性が高いです。
仲介の場合、ほかにも不動産売買に関して知識と経験がある不動産会社が、家を売る上での活動をサポートしてもらえる点も魅力的です。
一方で、不動産会社に仲介を依頼すると、売却が完了するまでに時間がかかる傾向にあるのがデメリットとなります。
買取パターン
仲介は買主との間にたってサポートしてもらえる方法に対して、不動産会社から直接買い取ってもらう方法があります。
買取を選択した場合、不動産会社が買主となるため、購入希望者を探す手間が省けるため、仲介と比較すると短時間で売却できるメリットがあります。
ただし、不動産会社から直接買取を受ける場合、ほかの方法と比較して売却価格が低くなるケースが多い点には注意が必要です。
個人売買のパターン
一般的な方法ではないものの、個人売買の形で家を売ることが可能です。
例えば、知人や友人に対して自ら手続きを進めて売ることができます。
仲介と違い、不動産会社へ依頼する際に仲介手数料が発生しないため、最終的には高く売れる可能性があります。
また、不動産会社のペースに合わせず、自分のペースで売買活動をおこなえる点が魅力的です。
ただし、個人売買の場合は書類の作成や手続きについて、自分自身でおこなわなければならず、専門的な知識も必要となります。
よって、初めて不動産を売るという人にとっては、ハードルの高い方法です。
家を売るときにかかる税金と費用
家を売る際には、売却価格がそのまま自分の手元に入るわけではありません。
家を売る際にかかる税金と費用があり、それを見込んでおく必要があります。
家を売るときにかかる税金と費用について、詳しく解説します。
税金について
家を売る際にかかる税金には、以下5つがあります。
- 譲渡所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
- 登録免許税
- 印紙税
各税金の詳細や、税率などは以下のとおりです。
譲渡所得税
家を売却すると、売却益が発生します。
この売却益に対しては、譲渡所得税とよばれる、資産の譲渡による所得にかかる税金が徴収されます。
ただし、単純に売却金額に対して譲渡所得税がかかるわけではなく、売却した金額から費用を引いた金額となる所得に対してかかるのです。
費用とは、売却時の費用だけでなく以下の費用も含まれます。
- 家の購入金額
- 購入時にかかった費用
家の購入金額については、年数とともに低下するため減価償却費として算出してください。
譲渡所得については、以下の計算式で算出します。
譲渡所得 = 売却金額 – 売却時の費用 – 購入金額 – 購入時の費用
なお、譲渡所得税の場合は家を所有していた期間によって変動し、具体的には5年以下と5年を超えた場合で課せられる税率が異なります。
具体的には、5年以下の場合は短期譲渡所得となり30%の税率、5年を超えた場合は長期譲渡所得となり15%となるのです。
以上より、短期間の保有で家を売却してしまうと、税金は高くなるので注意してください。
また、ここで言う所有期間とは、実際に家を所有した期間を示すわけではなく、家を売却した年の1月1日を起点として算出されます。
よって、1年の途中で5年を超えた場合でも1月1日の時点で算出される関係上、譲渡所得税の所有期間が5年以下となり、税率が30%と倍になるので要注意です。
住民税
住民税とは、住んでいる地域の行政に対して、必要な経費を負担する目的で支払う税金のことです。
所得税は国に納める国税であるのに対して、住民税の場合は地方税となり、都道府県民税と市区町村税を総称したものです。
家を売却して利益が発生した場合、譲渡所得税と同時に住民税がかかり、住民税の場合も短期譲渡所得と長期譲渡所得によって以下のように税率が変わります。
- 短期譲渡所得:9%
- 長期譲渡所得:5%
復興特別所得税
譲渡所得税と住民税以外にも、2037年までの間は復興特別所得税が徴収されます。
復興特別所得税は、2011年3月に発生した東日本大震災による被災地復興が目的で徴収され、2013年1月1日から2037年12月31日までの所得に対して課税される税金です。
復興特別所得税の場合も、短期譲渡所得と長期譲渡所得によって税率が変動します。
- 短期譲渡所得:0.63%
- 長期譲渡所得:0.315%
登録免許税
家を売る際には、所有権の移転の手続きとなる不動産登記の名義変更が必要です。
登録免許税法では、登記等を受ける者が2人以上いる場合、これらの者は連帯して納付する義務を負うと定められています。
要するに、家を売った場合は売主として新たな買主と一緒に登記申請をおこなわなければなりません。
法律上では、登録免許税も共同で納める形となりますが、実際には買主が負担するケースが多いです。
所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額に0.2%かけたものを収めなければなりません。
印紙税
印紙税とは、商取引において契約書や領収書を作成する際に課せられる税金のことです。
家を売る際に不動産の売買で作成される不動産売買契約書では、印紙税の対象になり印紙税の負担が必要です。
印紙税の場合、契約書に記された契約金額によって変動します。
消費税
消費税の課税対象となる取引を消費税法においては、以下のケースで消費税が徴収されるとされています。
- 国内での取引
- 事業者が事業として行うものである
- 対価を得て行われる
- 資産の譲渡、貸付、および役務の提供
個人が家を売却して得た代金については、消費税は非課税となります。
ただし、不動産投資などをおこなっていて、前々年の課税売上高が1,000万円を超えているケースでは、個人であっても課税事業者に該当し、居住用の不動産以外の不動産の売却代金に消費税がかかるので注意してください。
また、建物部分の売却代金に対しては、消費税が課税されることになります。
費用について
税金以外にも、家を売る際には以下のような費用を負担しなければなりません。
不動産売却の費用 | 金額の目安 |
仲介手数料 | 売買価格の3% + 6万円 + 消費税が上限 (売買代金400万円超の場合) |
収入印紙代 | 数千円から数十万円 (売買価格により変動する) |
抵当権抹消費用 | 2万円から3万円 |
土地の測量費 | 35万円から100万円 |
建物の解体費 | 100万円から300万円 |
ハウスクリーニング費 | 5万円から15万円 |
引っ越し費用 | 3万円から30万円 |
特に大きな負担となるのが、仲介手数料です。
仲介手数料は、不動産会社の仲介により家を売った場合にかかる手数料のようなものであり、法律上で以下を上限として徴収できるとされています。
売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
200万円以下の場合 | 売却価格 × 5% + 消費税 |
200万円~400万円の場合 | 売却価格 × 4% + 2万円 + 消費税 |
400万円以上の場合 | 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税 |
負担額が大きくなる関係上、ほかの方法でうることを検討している方もいますが、手軽に買手を探せるメリットもあり、必ずしも無駄な費用というわけではありません。
高く売る時にすべきこと
家を少しでも高く売りたい場合、ただ売りに出すのではなく一工夫するだけでも高値で売れる可能性が広がります。
特に、以下のような点に対応することが重要です。
- 相見積もりをとる
- 見られる部分を綺麗にしておく
- 売り出し価格の調整を行う
各ポイントについて、詳しく解説します。
相見積もりをとる
家を売る際に不動産会社に委託する場合、事前に査定を受ける必要があります。
不動産売却の査定方法として、机上査定と訪問査定の2つが存在します。
机上査定とは、住所や間取り、面積、築年数などの物件情報や、近隣の物件情報などを参考に算出するため、あくまでも簡易的なものであり概算しか確認できません。
一方で、訪問査定とは実際に売却する不動産をスタッフが確認した上で、家の状態や周辺環境などの情報を加味して算出されます。
以上のように、査定を受けることでどのような金額で売却できるかを把握できますが、不動産会社によって査定額はまちまちとなりがちです。
これは、不動産会社側の努力や戦略によって決まる部分があり、一社だけから査定を受けるのではなく複数の業者から査定を受けるようにしましょう。
相見積もりを取得すれば、家を売る際の相場を把握できたり、最も高い不動産会社を選定する際の重要なポイントとなります。
見られる部分を綺麗にしておく
家を売る際には、興味を示した方に対して実際に物件を確認してもらい、最終的に売却が成立するケースが多いです。
物件を見てもらう行為を内覧と呼びますが、内覧時に好印象を与えることが重要です。
逆に、内覧時に部屋が汚れていたり臭いが気になる場合、購入が見送られる可能性が高まります。
最低限、見られる部分だけでも綺麗にしておき、好印象を与えるように準備してください。
場合によっては、ハウスクリーニングを実施するなどの対応により、持ち出し費用がかかったとしても綺麗にしておく必要があります。
売り出し価格の調整を行う
不動産の売却価格を決めるためには、次の3つの価格を順番に決めていきます。
- 目標価格:売れる可能性がある上限の価格で適正価格10%から20%程度高い金額
- 適正価格:家の適正な価格を指し、通常は3ヶ月以内に売れると予想される価格のことを指す
- 下限価格:これ以上は値下げしたくない下限の価格で通常は適正価格マイナス20%から30%程度の間で設定
最初に決めるのが適正価格であり、通常は不動産会社の査定結果をそのまま採用する場合が多いです。
ただし、不動産会社によって査定価格に差があるものであり、査定価格は安くなる傾向がある一方で、売れないほど高値の査定を受ける場合もあるため、相見積もりにより適正価格を設定してください。
その後、目標価格を設定することになりますが、目標価格は適正価格のプラス10%から20%程度で決定します。
競合の売り出し価格が大きく影響することもあり、査定を受けた際に担当スタッフの意見を聞いて決定するとよいでしょう。
下限価格の場合、適正価格に対してマイナス20%から30%に設定しますが、下限価格を不動産会社に伝えるときは慎重におこなってください。
上記を踏まえて、売り出し価格は査定価格より若干高めにするのが一般的です。
不動産会社が査定価格を算出する場合、3ヶ月以内に売れる予想価格を設定することが多く、査定価格をベースとして上乗せ幅を調整してください。
ただし、売り出した後に反響を見つつ1ヶ月程度で段階的に値下げする形が一般的です。
もし、頻繁に値下げしたくないケースでは、最初の売り出し価格を相場より若干高くして待つのもよいでしょう。
不動産会社の選び方について
家をより好条件で売りたい場合、よい不動産会社を選べるかが重要です。
不動産会社には、主に以下3つのパターンがあります。
- 大手不動産会社
- 中小不動産会社
- フランチャイズ加盟店
大手の場合、取り扱う物件数が多いなどのメリットがある一方で、地元に精通していない可能性があります。
一方で、中小不動産会社の場合は地元密着型のサービスを提供している可能性があります。
規模の大小を問わず、自分にマッチした不動産会社を選定してください。
また、以下のような観点で探すのもよいでしょう。
- 不動産を売ることのデメリットも教えてくれる
- 契約を急かさない
- 現実的な対応を図ってくれる
まとめ
家を売りたい場合、様々な売却方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
その中で、自分にとって最適な方法を選択して、売却を進める必要があります。
今回紹介した情報を参考にして、より良い条件で売却できるように手続きを進めてください。