故人が亡くなられた後に、死者を弔うためにお墓を建てるのが一般的です。
ただし、お墓にはいくつもの種類があり、どのようなお墓にすればよいのか悩むものです。
また、急に亡くなられた場合にお墓をいつまでに準備すればよいのかも理解しておく必要があります。
この記事では、葬儀後にお墓を準備する手順や、お墓選びのポイントを紹介します。
お墓はいつまでに準備しなければならない?
お墓を準備するにあたって、いつまでに準備しなければならないかを理解する必要があります。
そもそも、お墓には以下のような意味合いがあります。
- 死者の冥福を祈る
- 生きている人たちの祈りの場として
お墓には、故人を土の中に埋めてその上に石碑をたてて、家族が死者の供養のためにお墓参りをすることになります。
これは、亡くなられた方に対して冥福を祈るという意味合いがあります。
また、生きている人たちの祈りの場としての意味合いもあるのです。
人が亡くなられて年月が経ってしまうと、死別の悲しみも徐々に和らいでしまいがちです。
また、世代が下ることで死者はどんどん供養されなくなっていきます。
そこで、生きている人たちの祈りの場としてお墓を建てることで、いつまでも象徴として祈り続けることができるのです。
以上のような役割があるお墓ですが、お墓を建てるタイミングには明確な決まりはありません。
ただし、一般的には以下のタイミングまでに建てることが多いです。
- 四十九日
- 一周忌
- 三回忌
- お盆・お彼岸
ただし、現実問題としてお墓を新しく建てるためには3か月程度の期間が必要であり、四十九日までには間に合いません。
そこで、お墓を建てるタイミングとしてふさわしいのは、一周忌と三回忌となります。
お墓の種類
お墓と言えば、一般的には墓石があって四角いデザインを思い浮かべがちです。
ただし、時代の流れとともに様々なお墓の種類が誕生しています。
主な種類だけでも、以下のようなものがあります。
- 継承墓
- 個人墓
- 夫婦墓
- 両家墓
- 共同墓
- 樹木葬
各種類について、詳しく解説します。
継承墓
継承墓とは、もっともスタンダードなお墓の形式となり、継承墓とも呼ばれます。
霊園や寺院に墓石を建立して、先祖代々の墓として家族のの中で墓守が管理する形が一般的です。
例えば、墓石に○○家先祖代々之墓などのように家名が刻まれているものを家墓と呼びますが、これらが継承墓となります。
スタンダードなお墓である位っぽい、現代では少子高齢化や継承する人がいないといった社会的問題のため減少傾向にあります。
個人墓
故人墓とは、建墓した個人が専用として使用するお墓で、継承者することはできません。
多くのケースでは、納骨した後に一定期間をおいて霊園関係者が供養して、期限後は永代墓や合祀墓に移されるケースが多いです。
個人墓を利用するメリットとしては、継承者がいないケースでもお墓を建てることができる点が挙げられます。
また、お墓の撤去や永代供養の心配がなく残された家族に迷惑をかける必要がないというメリットもあります。
夫婦墓
夫婦墓とは、夫と妻の2人だけで入ることができるお墓のことです。
夫婦だけで使用することを前提としたお墓である関係上、特別な場合を除いてほかの人を一緒に納骨できません。
継承墓などとは名前の刻み方が異なり、2人の戒名もしくは俗名を並べて刻む形が取られます。
夫婦墓を選択する理由としては、夫婦に子どもがいない場合や先祖代々の墓とは別に準備したいなどがあります。
両家墓
両家墓とは、複数の家のお墓をひとつにまとめた形式のお墓です。
両家墓自体は古くから存在していた一方で、あまり一般的とは言えませんでした。
ただし、近年の少子化や核家族化により、徐々に両家墓を選択するケースが増えています。
両家墓には、主に以下のような種類が存在します。
- 区画に2つの墓石を建てる
- 1つの墓石に両家の家名を並べて刻む
- 1つの墓石に家名以外のものを刻む
- 五輪塔により供養する
両家墓のメリットとしては、お墓参りやお手入れを一度に完了できる点や、建築費用を抑えられるなどの点があります。
ただし、親族や継承者の同意が必要となり、墓石に刻む家名にも注意が必要です。
共同墓
共同墓とは、ひとつのモニュメントに対して多くの故人の遺骨と共に埋葬するお墓です。
ほかのお墓の種類と異なり、個別の墓石を建てる必要がない特徴があります。
共同墓は永代供養墓とも呼ばれており、地域や取り扱っている霊園などで多少の違いがあります。
共同墓の場合、墓石を建てる必要がなくメンテナンスむ不要となり、通常のお墓と比較して費用を抑えられます。
樹木葬
樹木葬とは、墓地に遺骨を埋葬して、遺骨の周辺にある樹木を墓標として故人を弔う方法となります。
どのような樹木でも良いわけではなく、墓地、埋葬等に関する法律によって許可を得た墓地や霊園にある樹木の周辺でなければなりません。
実際には、許可を得た区画に遺骨を埋葬して、墓石などを設けることなく樹木た花木を墓碑として、自然と共生する形が取られます。
樹木葬の場合、墓石が必要ないため自然環境に優しく、永代使用料や管理費を抑えることができる点が魅力的です。
ただし、遺骨の返却が不可となり、区画が限定されているため好きな場所に埋葬できないデメリットがあります。
お墓を建てる際にかかる費用
お墓を建てる場合、費用を負担しなければなりません。
主にかかる費用としては、以下3つがあります。
- 永代使用料
- 管理料
- 墓石代
各費用の詳細は、以下のとおりです。
永代使用料
お墓を建てる際には、墓地用地を永代にわたって使用するための使用権を、霊園や寺院から購入しなければなりません。
この費用のことを永代使用料と呼び、その権利を買うための費用となるだけで所有権ではないため混同しないように注意してください。
永代使用料は、概ね60万円から80万円程度が相場です。
ただし、墓地の費用は墓地の面積によって変動して、同じ80万円でも広さはまちまちです。
実際には、墓地の費用は面積×平米単価で決まることになります。
管理料
管理料とは、管理棟の整備や墓地内の清掃、植栽の手入れ、墓地の水道代といった、お墓周りの維持管理にかかる費用です。
霊園の種類にもよるものの、年間2,000円から15,000円程度が相場となります。
寺院墓地の場合はお布施や寄付金なども必要です。
管理費は、毎年決まった額を支払うか、2年から3年ごとにまとめて支払う形が取られます。
墓石代
墓石の用意が必要な場合、墓石を購入しなければなりません。
墓石は、お墓を建てる地域や面積、使用する石材の種類や産地、そして墓石の形状やデザインなどによって費用が大きく変動します。
墓石代には、お墓本体を構成する竿石とカロートと呼ばれる遺骨を置く納骨室、花立、香炉、外柵などの費用だけでなく、設置費も含まれます。
費用は千差万別で、相場としては100万円から350万円程度となり、大きな負担が必要です。
お墓を建てる手順
お墓を建てるためには、主に以下のステップを踏んでおこないます。
- 墓地を取得する
- 石材店と契約する
- 石材店が工事する
- 寺院による開眼供養をおこなう
各ステップについて、詳しく解説します。
墓地を取得する
お墓を建てる最初の段階で、墓地の取得があります。
墓地には、主に以下4つの種類があります。
- 公営墓地
- 民営墓地
- 寺院墓地
- 共同墓地
各種類の特徴を紹介しますので、最適な墓地を選択しましょう。
公営墓地
公営墓地とは、自治体が運営している墓地のことです。
自治体が運営しているだけあって、永続性については心配する必要がありません。
お住まいの都道府県または市町村に居住している人が利用できる墓地となり、宗教の制限や指定石材店制度がないケースが大半です。
ただし、自治体によっては遺骨のない場合は申込みできなかったり、墓石のデザインや大きさが制限される墓地もあるため注意が必要です。
民営墓地
民営霊園とは、宗教法人や公益法人などが公益事業を目的として提供している墓地のことです。
墓地の永続性などの観点より、霊園の経営については厚労省の指導などによって、宗教法人もしくは公益法人に限定されている特徴があります。
ただし、経営する法人次第では、実際の管理運営について石材店など別の会社に委託しているケースが多いです。
後述する寺院墓地でも宗教法人が管理・運営していますが、宗教活動の一環である関係上基本的に檀信徒でなければ使用できません。
一方で、民営霊園の場合は公益事業として提供されている関係上、宗教法人が経営する霊園であっても宗教不問となっています。
寺院墓地
寺院墓地とは、お寺の境内または寺院に隣接する敷地に設置されていて、お寺が主体となり管理・運営している墓地のことです。
境内にお墓がある点が特徴となり、寺院が管理・運営しているので葬儀から法要、供養などはすべて寺院に一括で依頼できます。
お墓も寺院の敷地内にある関係上、管理面での安全性も担保されているメリットがあります。
ただし、寺院墓地はあくまでも寺院の檀家や門徒・信徒のための墓地であるため、入檀料や護持会費、お布施などの負担が必要です。
共同墓地
共同墓地とは、墓地の使用者や地域のコミュニティーなどによって、管理・運営している墓地のことを指します。
共同墓地には、使用者たち地域の人たちで管理・運営する墓地と、ひとつのお墓に対して複数の家庭の人たちが共同で入るというケースがあります。
共同墓地の場合、管理している墓地や霊園が半永久的に管理や永代供養をおこなってくれます。
また、墓石代やお墓にかかる土地代などについて、一般のお墓と比べて安いメリットもあるのです。
ただし、血縁関係がない他人と一緒に埋葬される関係上、違和感を覚えて親戚同士でトラブルとなりやすい点に注意してください。
石材店と契約する
墓地を決めたら、石材店と契約します。
もし、墓地の関係上指定業者がある場合は、その業者と打合せしてください。
指定石材店がない場合は、いくつかの石材店から最適な石材店を選定してください。
石材店が工事する
契約が完了したら、事前整合したタイミングから石材店が工事をします。
契約から完成まで、概ね2か月から3か月くらいかかります。
寺院による開眼供養
お墓が建ったとしても、その時点では単なる石であり、お墓としての意味合いを持たせるために開眼供養が必要です。
開眼供養は、以前は菩提寺がおこなうのが一般的でしたが、最近では菩提寺を持たないケースも多いため、霊園を管理している寺院、単発の法事にも対応できる僧侶に依頼するケースが多いです。
開眼供養には、お布施とお供え物、会食、引き出物などの費用がかかり、概ね10万円弱の費用がかかります。
お墓を準備する際に注意したい3つのポイント
お墓を準備する際に、注意すべきポイントとして以下4つが挙げられます。
- 予算に合ったお墓を選ぶ
- お墓を建てる場所を吟味する
- 信頼できる石材店を選ぶ
各注意点について、詳しく解説します。
予算に合ったお墓を選ぶ
お墓の価格は、先に紹介した通り決して安いとはいえず、最低でも100万円程度かかります。
墓石の種類やサイズ、デザイン、墓地の広さによって費用が大きく変動する関係上、業者にあらかじめ予算を伝えたうえで相談することをおすすめします。
お墓を建てる場所を吟味する
お墓を建てる場所は、基本的に継承者の近くを選定するのがベターです。
墓地選びでは、費用面ばかりに着目しがちですが、なるべくアクセスしやすい位置から選定しましょう。
信頼できる石材店を選ぶ
お墓を建てる際には、石材店選びが重要です。
業者の対応次第では、思わぬトラブルに巻き込まれるため、真摯に対応してくれる業者を選びましょう。
自社の責任施工かどうかも重要であり、下請けに依頼するのではなく自社に施工する業者の方が信頼をおけます。
また、契約書や保証書は発行されないとトラブル発生時に不利になるケースが多いため、発行してくれる業者を選んでください。
まとめ
葬儀後のお墓選びは、慎重におこなう必要があります。
本来であれば四十九日法要に合わせたいものですが、実行上では一周忌法要までに準備するのがベターです。
墓地選びと石材店選びに注意して、最適なお墓を建てましょう。
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