葬儀を執りおこなった後に、一息付きたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
確かに、故人がお亡くなりになって息つく暇なく対応している中で、葬儀が終わるとほっとするものです。
ただし、葬儀終了後にも様々な葬儀や行政の手続きをおこなわなければなりません。
では、どのような手続きが必要となるのでしょうか。
この記事では、葬儀後に必要となる行政や相続手続きを解説すると同時に、リストを紹介しますのでぜひ活用してください。
葬儀後に必要な行政や相続手続きのリスト
はじめに、葬儀後に必要な行政や相続手続きについて、リストを紹介します。
期日 | 手続き内容 |
死亡から7日以内 |
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死亡から14日以内 |
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死亡から3か月以内 |
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死亡から4か月以内 |
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死亡から10か月以内 |
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死亡から2年以内 |
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死亡から3年以内 |
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死亡から5年以内 |
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また、期限こそ決められていないものの、以下のような手続きが必要なる場合があります。
分類 | |
解約・名義変更 |
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返却手続き |
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その他 |
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以上のように、実に多くの手続きをおこなわなければなりません。
よって、以上のリストをチェックリスト化して、漏れなく確実に対応すると同時に、スケジュールを立てて計画的に実施してください。
死亡から7日以内におこなう手続き
死亡してから7日以内に対応しなければならない手続きは、以下の2つです。
- 死亡届の提出
- 埋火葬許可証交付申請書の提出
各手続きの詳細は、以下のとおりです。
死亡届の提出
死亡届とは、故人がお亡くなりになったことを行政に報告する届出書のことです。
死亡届は、親族や同居人などが亡くなられた場合に、期日までに役所へ書類を提出しなければなりません。
申請先 | 死亡地・本籍地または届出人の所在地の市役所、区役所または町村役場 |
手続きに必要なもの | 埋火葬許可証交付申請書 |
手続き者 | 同居の親族、その他の同居者、亡くなった場所の家屋または土地の所有者、家屋管理人、土地管理人など |
死亡届は、戸籍上の第86条と第87条で、死亡届の届出の期間や書類、届出人などが細かく規定されているため、確実な対応が必要です。
死亡届の作成方法などは、以下の記事で詳しく解説しています。
埋火葬許可証交付申請書の提出
埋火葬許可証交付申請書とは、火葬をおこなうために必要となる書類のことです。
埋火葬許可証交付申請書の提出により、埋火葬許可証を得られて火葬をおこなうことができます。
申請先 | 死亡地・本籍地または届出人の所在地の市役所、区役所または町村役場 |
手続きに必要なもの | 死亡届と届出人の印鑑、届出人の身分証 |
手続き者 | 基本的に同居の家族がおこなう(代行サービスもあり) |
基本的には、死亡届と同時に手続きするのが一般的です。
埋火葬許可証交付申請書の作成方法などは、以下の記事で詳しく解説しています。
死亡から14日以内におこなう手続き
死亡から14日以内におこなう手続きとしては、以下があります。
- 厚生年金・共済年金・国民年金の受給停止
- 国民健康保険の脱退
- 被扶養者の国民健康保険の加入手続き
- 被扶養者の国民年金の種別変更
- 介護保険資格喪失届
- 住民票の抹消届け
- 世帯主の変更届け
- 児童手当の手続き
- 障害者手帳の返却
各手続きの詳細は、以下のとおりです。
厚生年金・共済年金・国民年金の受給停止
故人が加入していた厚生年金・共済年金・国民年金については、亡くなられた後に受給停止の手続きが必要です。
意図的ではなくても、手続きが遅れると不正受給となるため、早急に対応しなければなりません。
なお、正確には厚生年金と共済年金の受給停止手続きは10日以内、国民年金は14日以内に対応する必要があります。
申請先 | 年金事務所または年金相談センター |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 基本的に同居の家族がおこなう(代行サービスもあり) |
なお、年金受給権者死亡届については、日本年金機構のホームページからダウンロードできるため、事前に入手して必要事項を記入してください。
また、窓口の手続き以外でも、日本年金機構に電話すれば郵送での手続きも可能となります。
国民健康保険の脱退
健康保険に加入している方が亡くなられた場合、加入をやめるための資格喪失手続きが必要です。
資格喪失に関する手続きについては、もし企業に雇用されている場合は勤務していた会社の担当者がおこなうのが一般的です。
申請先 | お住まいの市区町村 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 世帯主(代行サービスもあり) |
なお、同時に葬祭費の支給を受ける手続きをおこなうのが一般となっており、葬祭を行った人を確認できるものや葬祭を執りおこなった方の預金通帳などを準備してください。
勤務先の場合、亡くなられた日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があり、速やかに勤務先に連絡しましょう。
被扶養者の国民健康保険の加入手続き
もし、健康保険や年金加入者の扶養に入っている場合は、被扶養者資格喪失の手続きと同時に被保険者資格取得の手続きをおこなう必要があります。
国民皆保険の制度があるため、被扶養者資格喪失しても被保険者資格取得が可能なのです。
申請先 | 住所地の市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 世帯主もしくは同一世帯の人(代行サービスもあり) |
なお、お住まいの市区町村によっては、死亡届を提出すれば国民健康保険資格喪失届は不要となるケースもあります。
また、亡くなった加入者本人の保険証は、市区長村役場に返却が必要となり、世帯主が亡くなったケースで同一世帯に加入者がいる場合では、保険証の世帯主欄を変更する必要があるため持参してください。
被扶養者の国民年金の種別変更
故人の配偶者が国民年金の第3号被保険者である場合、亡くなられてすぐに仕事に就く予定がない場合、第1号被保険者に該当します。
よって、第3号から第1号への種別変更の手続きが必須です。
申請先 | 住所地の市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 世帯主もしくは同一世帯の人(代行サービスもあり) |
介護保険資格喪失届
介護保険制度とは、65歳以上で要介護認定を受けており、介護が必要と認定された方、40歳から64歳までの間で特定疾病により介護が必要とされた方に大して、介護サービスを提供するための制度となります。
もし、介護保険に加入している方が亡くなった場合、脱退する手続きをおこなわなければなりません。
申請先 | 亡くなられた方の住民票がある市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の親族 |
なお、死亡届を提出するだけで完了するケースや、介護保険被保険者証を返却するだけで手続きが完了する場合があります。
また、電話での通知で完了する場合もあるため、よく確認してください。
さらに、保険者証の返却が不要であり勝手に処分してもよい場合もあります。
住民票の抹消届け
住民票の抹消届けは、基本的には死亡届を提出すると同時に抹消してもらえる場合があります。
ただし、市区町村によっては別途抹消届を提出しなければならないため、よく確認してください。
申請先 | 亡くなられた方の住民票がある市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の親族 |
世帯主の変更届け
亡くなられた方が世帯主であった場合、世帯主の変更届を提出する必要があります。
なお、基本的には住民票の抹消届と同じ場所で手続きできるため、同時におこなうのが一般的です。
申請先 | 亡くなられた方の住民票がある市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの | 届出人の印鑑
本人確認が可能な書類(免許所やパスポートなどの顔写真付きのもの) |
手続き者 | 故人の親族 |
故人が3人以上の世帯の世帯主であったケースでのみ該当し、2人以下の場合は該当しません。
児童手当の手続き
児童手当の受給を受けている方がが亡くなられた場合、死亡したタイミングで児童手当の受給資格が消滅します。
配偶者の方などが、亡くなられた方に代わって児童を監護する場合、児童手当を受給するためには認定請求書の提出が必要です。
申請先 | 市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 対象者を養育する保護者 |
なお、郵送でも受け付けている場合もあるため、よく確認してください。
障害者手帳の返却
もし、障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)を持っている方が亡くなった場合、障害者手帳返還の手続きが必要です。
申請先 | 市区町村の窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の親族 |
なお、福祉手当等を受給していた方の場合、失権届の届出が同時に必要となります。
さらに、手当の振込口座が手帳所持者本人名義で、その本人が死亡したケースでの返還の場合は、同居の家族等の振込口座が分かる通帳などを持参してください。
死亡から3か月以内におこなう手続き
死亡から3か月以内におこなう手続きとして、相続放棄と限定承認の申請があります。
相続放棄とは、相続人が被相続人の権利義務の承継を拒否する意思表示のことであり、相続が開始したことを知ってから3か月以内に被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出しなければなりません。
また、故人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する限定承認を希望する場合、同時に手続きしなければなりません。
申請先 | 家庭裁判所 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の親族 |
なお、形式的に受理された場合でも、相続放棄の有効が確定するわけではありません。
法律上の無効原因などがあるケースでは、後でその有効性を訴訟で争うことも可能となっています。
さらに、3か月以内で判断がつかない場合においては、家庭裁判所に期間の伸長の申立てが可能です。
相続放棄や限定承認については、以下の記事で詳しく解説しています。
死亡から4か月以内におこなう手続き
死亡から4か月以内におこなう手続きとして、準確定申告があります。
準確定申告とは、亡くなった人の生前の所得税についての確定申告となり、以下のようなケースで必要となります。
- 被相続人が事業を営んで確定申告していたケース
- 被相続人に副収入を得ており確定申告義務があるケース
- 被相続人の給与額が2,000万円以上となり確定申告義務があるケース
- 被相続人が確定申告によって還付金を受けられるケース
申請先 | 税務署 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 相続人 |
医療費控除などで還付金の可能性もあるため、漏れなく確実に実施してください。
死亡から10か月以内におこなう手続き
死亡から10か月以内に必要となる手続きとして、相続税の申告と納付があります。
相続税は、相続の開始があったことを知った日の翌日より、10か月以内に被相続人の住所地の税務署に申告して納税しなければなりません。
申請先 | 税務署 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 相続人 |
もし申告書を提出する人が2人以上いるケースでは、共同で申告書を作成し連署して提出してください。
相続人の間で争っていたり、共同相続人の中に行方不明の人がいたりして連絡が取れないケースでは、各自別々に提出することも可能です。
死亡から2年以内におこなう手続き
死亡から2年以内におこなう必要がある手続きには、以下があります。
- 各健康保険の埋葬料の申請
- 国民健康保険の葬祭費の申請
- 労災保険の葬祭料と葬祭給付の申請
- 高額療養費の申請(診察月の翌月を1日として2年以内)
各手続きについて、詳しく解説します。
各健康保険の埋葬料の申請
各種健康保険に加入している場合、埋葬料の申請が可能です。
故人により生計の全部または一部を維持しており、かつ故人の埋葬を行う方が埋葬のための費用として、一律5万円を受け取ることが可能です。
申請先 | 健保組合または年金事務所 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の親族 |
なお、郵送での申請も可能な場合が多いため、健保組合または年金事務所に確認してください。
国民健康保険の葬祭費の申請
国民健康保険に加入している場合、葬祭費の申請が可能です。
先に紹介した埋葬料と似ている埋葬費ですが、埋葬料を受け取る人がいない場合に給付されるものとなります。
具体的には、故人に親族や生計をともにしていた方がおらず受取人がいない場合、埋葬した方に上限5万円までの実費が支払われることになります。
申請先 | 健保組合または年金事務所 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の親族 |
労災保険の葬祭料と葬祭給付の申請
もし、故人が労働災害により亡くなり、労災保険に加入している場合は葬祭料と葬祭給付の申請をおこなう必要があります。
葬祭料とは、業務上の災害によって労働者が亡くなった場合、葬儀や法要をおこなった方に対して支給されるものです。
申請先 | 労働基準監督署 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 基本的に故人の家族 |
なお、金額については亡くなられた方の給付基礎日額をベースに計算されます。
具体的には、「給付基礎日額×30日分+315,000円」で計算されて、この金額が給付基礎日額の60日分より少ない場合には「給付基礎日額×60日分」で支給されます。
なお、故人に遺族がない状態で事業主や友人が葬祭を執りおこなった場合、友人が申請して給付を受けることが可能です。
高額療養費の申請(診察月の翌月を1日として2年以内)
亡くなられた方が病院でかかった医療費について、自己負担限度額を超えたケースでは、負担額を超えた部分は申請により払い戻しをしてもらえます。
この申請のことを高額療養費支給申請と呼び、対象者が死亡したケースでも相続人が代理人として手続き可能です。
申請先 |
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手続きに必要なもの |
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手続き者 | 基本的に故人の家族(相続人) |
基本的に2年に限定されますが、故人の生存中に申請書が届いていたが申請していない高額療養費は、時効になっていなければ過去にさかのぼって請求できます。
死亡から3年以内におこなう手続き
死亡から3年以内におこなわなければならない手続きとして、生命保険の死亡保険金の請求があります。
生命保険の死亡保険金は、被相続人が加入していた生命保険に対しておこないます。
そして、保険の種類を確認して生命保険会社に連絡して必要な書類を入手してください。
申請先 | 生命保険会社 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の家族(相続人) |
請求が完了すると、請求時に指定した口座に入金されます。
なお、死亡保険金の受け取り方法として、一括や年金受け取りなどを選択可能です。
死亡から5年以内におこなう手続き
死亡から5年以内に手続きしなければならないものとして、以下があります。
- 国民年金の寡婦年金請求
- 国民年金の遺族基礎年金請求
- 厚生年金の遺族厚生年金請求
- 労災保険の遺族補償給付請求
各手続きの詳細は、以下のとおりです。
国民年金の寡婦年金請求
寡婦年金とは、国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間が10年以上ある夫が、何の年金も受けることなく亡くなった場合、妻が60歳から65歳になるまでの間支給されるものです。
申請先 | 国民年金窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 故人の配偶者 |
年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額となり、亡くなった夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるケースでは支給されません。
また、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは支給されませんので注意してください。
国民年金の遺族基礎年金請求
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた方が亡くなられた場合、その方によって生計維持されていた18歳到達年度の末日までにある子(もし障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者、または子が受けることができるものです。
申請先 | 国民年金窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 給付を受ける者 |
厚生年金の遺族厚生年金請求
遺族厚生年金とは、厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった方が亡くなられた場合、その方によって生計維持されていた遺族が受けることができるものです。
申請先 | 国民年金窓口 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 給付を受ける者 |
労災保険の遺族補償給付請求
業務時または通勤中の事故により労働者が死亡した場合に、遺族は労災保険に遺族(補償)給付を請求できます。
なお、労働災害の場合は遺族補償給付、通勤災害の場合は遺族給付と名称が異なります。
申請先 | 所轄の労働基準監督署長 |
手続きに必要なもの |
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手続き者 | 給付を受ける者 |
遺族(補償)給付には、遺族(補償)年金と遺族(補償)一時金の2種類があるのが特徴です。
年金の場合、以下の金額が給付されます。
人数 | 遺族(補償)年金 |
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1人 | 給付基礎日額の153日分(ただし、55歳以上または一定の障害の状態にある妻は175日分) |
2人 | 給付基礎日額の201日分 |
3人 | 給付基礎日額の223日分 |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 |
まとめ
今回紹介した手続きは、漏れなく確実に対応しなければなりません。
特に、給付金関連は確実に受け取りたいものであり、また無届けの場合は処罰されるものもあるので要注意です。
チェックシートを作成して、抜け漏れなく確実に対応してください。
日本終活セレモニーでは、葬儀などに関する情報をお届けしていますので、ぜひ参考にしてください。