故人が亡くなられた後に、故人が使用していたものが遺品として残る場合があります。
生前の段階で生前整理していれば遺品が発生することはほぼありませんが、急に亡くなられたり生前整理をしていない状況では、残された遺品を整理する必要があります。
遺品を整理することを遺品整理と呼びますが、実際に遺品整理するにあたってどのような時期にどのようにおこなえばよいのでしょうか。
この記事では、遺品整理の概要や実施方法、時期、注意点について解説します。
遺品整理とは?
遺品整理について改めて説明すると、故人が生前使用していたものや想い出の品と言った、故人が残された品物となる遺品を整理する行為を指します。
遺品とは、家財道具や衣類、写真、手紙、通帳、財産価値のある品など、広範囲にわたるのが特徴です。
遺品は、そのままの状態で残すことによって、それを見る度に故人の思い出が蘇ってしまい、心が重くなりがちです。
また、遺品がそのまま放置されていると傷んだりスペースが取られたりするため、遺品整理は必要となります。
故人の私物を整理する行為は、故人が生きていた証となるものと改めて向き合う必要があり、残された家族が再び悲しみや寂しさに包まれてしまいがちですが、それを乗り越えて遺品整理はおこなうべき行動となっています。
遺品整理をはじめるにあたって、まずは故人が遺言やエンディングノートが存在するのかをよく確認してください。
故人が、遺言やエンディングノートに遺品に関する事柄を残していれば、それを最優先として考える必要があります。
そして、実際に遺品を残す、残さないを判断していくことになりますが、作業スペースを事前に確保しておくと効率よく作業を進められるのでおすすめです。
残すべき遺品としては、以下のようなものが存在します。
- 遺言書
- エンディングノート
- クレジットカード
- 身分証明書
- スマートフォン
- 写真
- 思い出の品
- レンタル品
- 通帳
- 印鑑
- 貴重品
- 鍵
- 市場価値のあるもの(貴金属など)
また、遺品整理で仕分けをおこなうにあたり、残すべきか残さないべきかで悩むものも多いものです。
もし悩む場合は、一旦保留として残しておき、後日改めて判断することをおすすめします。
一通りの仕分け作業が完了したら、残すものについては保管場所を決めて保管してください。
残さないものについては、以下のような方法で処分を検討します。
- 廃棄処分する
- 業者に買取ってもらう
- リサイクルする
- フリマアプリやネットオークションなどで売却する
- 寄付する
- 形見分けする
処分方法を決定したら、処分の手続きをすすめてください。
以上で、遺品整理は一通り完了する形となります。
遺品整理を行う時期は?
遺品整理を実施しるタイミングについては、特に正式な決まりごとはありません。
一般的には、以下のタイミングで実施することが多いです。
- 法事に合わせる
- 葬儀後の手続きに合わせる
各タイミングに実施することによるメリットやデメリットは、以下のとおりです。
法事に合わせる
遺品整理をおこなう一般的なタイミングとしては、以下のような法事のタイミングです。
- 四十九日後
- 一周忌
- 三回忌
- 七回忌
- 葬儀後
上記タイミングのメリットとして、親族が集まることで整理を効率的におこなえる点が挙げられます。
遺品整理では、大型家具などの整理が必要になる場合もあり、1人で対応するのは難しいものです。
そこで、親族が手分けして対応することで、効率よく遺品整理が進められます。
また、遺品整理と同時に形見分けも行える点は魅力的です。
ただし、特に葬儀が終了した後から遺品整理を始める場合、まだ精神的に落ち着いていないため、余計に心が乱されてしまう可能性があります。
これにより、思うように遺品整理が進まないケースもあるので注意してください。
葬儀後の手続きに合わせる
葬儀を執りおこなう前の段階として、死亡届の提出や埋火葬許可証の交付申請に対応しなければなりません。
また、葬儀が終わった後にも、以下のような手続きが必要となるのです。
- 葬祭費や埋葬費の支給申請
- 健康保険の資格喪失や資格取得
- 介護保険料過誤納還付金の請求
- 年金受給権者死亡届(報告書)の提出
- 遺族基礎年金や遺族厚生年金の請求
- 健康保険の資格喪失や資格取得
- 免許証やパスポート等の返納
- 公共料金等の手続き
- 雇用保険受給資格者証の返還
さらには、重要な作業となる相続について、申告書の提出期限は被相続人が亡くなられた後10ヶ月以内に申告・納税しなければなりません。
以上のような手続きをおこなうにあたって、遺品整理が必要となるため、そのタイミングで実施するという考えもあります。
遺品整理の方法は?
遺品整理を進めるにあたって、主に以下2つの方法で進めることができます。
- 遺族で協力して行う
- 遺品整理業者に依頼する
各方法の詳細は、以下のとおりです。
遺族で協力して行う
遺品整理は、先に紹介したとおり一人で対応するのはまず不可能です。
また、自身が高齢な場合は体力的な衰えによって思うように作業できないケースも多いです。
そこで、遺族と協力しながら作業すれば、短期間で効率よく作業をおこなえます。
安全性という観点でも、重いものを複数人で持てば事故を防止できる可能性があります。
さらには、自分ひとりで進めるのではなく遺族の意見を聞きつつ仕分け作業ができるため、後々トラブルに発展するリスクを低減可能です。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理は、身内だけでなく業者にも依頼可能です。
多くの遺品整理業者が存在しており、遺品整理業者に依頼すれば自分で作業することなく遺品整理が完了します。
当然、遺品整理業者を利用するにあたって費用がかかりますが、費用対効果を考えればお得になる場合もあります。
遺品整理業者では、遺品の仕分けから不要と判断したものの処分、そしてオプションで清掃などにも対応してもらえる点が魅力的です
遺品整理業者によっては、不用品を買い取ってもらえる場合もあり、買取費用を遺品整理費用に補填することも可能です。
ただし、遺品整理業者によっては依頼者の意向を無視して遺品を仕分ける場合があります。
また、処分する遺品を不法投棄するなどのトラブルを発生させるリスクもあるため、業者選びは慎重におこなう必要があります。
遺品整理を行う際の注意点
遺品整理をおこなうにあたって、注意すべきポイントがあります。
特に、以下の点に注意して遺品整理を進めてください。
- 書類の処理
- 親族とのトラブル
各注意点について、詳しく解説します。
書類の処理
故人の仕事関係の書類があった場合、処分してしまうと後日会社から問い合わせが入る可能性があると対応できなくなります。
よって、すぐに処分せずしばらくは保管しておくと良いでしょう。
また、電気やガス、水道などの公共料金の領収書については、解約する際に必要となるケースがありますので処分しないようにしてください。
親族とのトラブル
遺品については、自分単独で処分してしまうと親族とのトラブルに発展しかねません。
遺言やエンディングノートで指定されている遺品以外は、親族の意向も聞きながら仕分け作業を実施してください。
まとめ
遺品整理は、故人との思い出のものを仕分ける重要な作業です。
殆どの方が初めて経験することになる遺品整理では、どのように進めればよいか悩むものです。
そこで、今回紹介したようなポイントを押さえて、遺品整理で失敗したと思わないように慎重に進めましょう。