身内で亡くなりそうな方がいる場合、事前に葬儀の準備を進めるケースがあります。
まだ時間的余裕がある状況であり、どのような葬儀のスタイルが適切か判断できます。
ただし、葬儀と言っても様々な種類があり、どれを選択すればよいか悩むものです。
また、本人がどのような形の葬儀を希望するかによっても、選択肢が異なります。
では、葬儀には一体どのような種類があるのでしょうか。
この記事では、葬儀の種類を紹介すると共に、それぞれの葬儀のメリットやデメリットを紹介します。
お葬式の行われている割合について(家族葬,一日葬,直葬,一般葬)
はじめに、他の方がどのような葬儀を実施しているかを知ることが重要です。
葬儀としては、最近では主に以下4つの方法があります。
- 家族葬
- 一日葬
- 直葬
- 一般葬
それぞれの葬儀が実施されている割合としては、公正取引委員会が葬儀会社に対して実施したアンケート結果が記載されている、「葬儀の取引に関する実態調査報告書 H29.3.22」によると、以下のような割合となっています。
葬儀の形態別割合 | 葬儀形態による増加率 | |
一般葬 | 63.0% | 5.4% |
家族葬 | 28.4% | 51.1% |
直 葬 | 5.5% | 26.2% |
一日葬 | 2.8% | 17.1% |
社 葬 | 0.3% | 0.3% |
なお、新型コロナウイルスの影響により、小規模な葬儀が増えている状況にあるため、あくまでも参考値となります。
それでも、明らかな傾向として家族葬が急増している点に注目が集まります。
また、直葬の割合も増えていることから、少人数で時間をかけずに葬儀をおこなうケースが増えているのが特徴です。
一方で、一般葬の増加率が低いという状況が続いています。
各葬式の費用について(家族葬,一日葬,直葬,一般葬)
家族葬や直葬が増えている背景の1つに、費用面でのメリットがある点が挙げられます。
一般葬の場合、どうしても費用が高くなりがちであり、故人がシンプルな形式の葬儀を望む場合にはあえて一般葬ではなく家族葬や直葬、そして一日葬も視野に入るのです。
では、実際にどの程度費用面での違いがあるかと言えば、以下のような違いがあります。
費用相場 | |
一般葬 | 約149万円 |
家族葬 | 約96万円 |
直 葬 | 約85万円 |
一日葬 | 約44万円 |
単純に、一般葬と比較して一日葬は約1/3程度の費用で実施できる形となります。
各葬式の満足度について(家族葬,一日葬,直葬,一般葬)
葬儀の費用や割合を見てきたところで、実際に葬儀を実施して満足できるかどうかがポイントです。
特に、葬儀は故人にとって最後の花道となり、遺族だけが費用面で満足しても仕方ありません。
いかに、遺族側も参列者側としても満足できる葬儀であったかどうかが鍵となるのです。
その点で、各葬儀の満足度は非常に重要な要素となります。
一般的に、一般葬と家族葬の場合、約75%以上の方が葬儀に満足していると言われています。
むしろ、家族葬の方が満足度が高い状況となっているのが特徴です。
次に満足度が高いのが一日葬であり、それでも70%以上の方が満足されていると回答しています。
一方で、直葬の場合は満足したという方の割合が70%を下回っており、満足できないという方の数も他の葬儀より多くなっています。
以上から、様々な要素を加味してバランスが取れた葬儀としては家族葬が最適と言える状況です。
家族葬について
先に紹介したとおり、満足度が高く費用面でも安く実施できる葬儀として、家族葬に注目が集まっています。
また、新型コロナウイルスの影響もあり、家族葬で葬儀を進めざるを得ない状況が続いている事情もあります。
家族葬の特徴やメリット、デメリットは以下のとおりです。
特徴
家族葬とは、故人と親しい関係の方のみが参列して執り行われる葬儀のことです。
家族葬という名称から、家族のみが参列するイメージがありますが、実際にはより幅広い方が参列するのが特徴です。
家族葬に関する明確な定義はなく、どの関係性の方まで参列するのかは主催者の考え方次第となりますが、一般葬と比較して小規模で執り行われることになります。
参列者の違いがあるものの、基本的な葬儀の流れは一般葬と同様です。
メリット
家族葬の場合、より一人ひとりの想いが反映しやすいという特長があります。
多くの方が葬儀に関わると、それぞれの方の想いを反映させなければなりません。
同じ方向性の考え方であればまだしも、全く異なる考えをまとめて1つの形にするのは困難です。
そこで、家族葬の場合は一人ひとりの想いを反映させやすく、葬儀をスムーズに準備できるメリットがあります。
また、遺族側としても故人との別れの時間をゆったりと確保できる点も魅力的です。
大規模な葬儀の場合、対応すべき項目が多数に渡り、その対応に追われてあっという間に葬儀が終わってしまう場合が多いです。
故人とのお別れの場でもある葬儀において、少しでも故人に対する思い出などを振り返ってお別れしたいものです。
家族葬の場合、比較的時間的な余裕が生まれるため、よりゆったりと過ごせる点がメリットとなります。
他にも、予め小規模な葬儀が見込まれる場合に家族葬にすれば、一般葬と比較して費用を抑えられます。
さらに、家族葬の場合は形式的なことを省略して、故人の遺志を反映させてより自由な葬儀を執り行える点も魅力的です。
デメリット
家族葬のデメリットとしては、参列者が限定されるため、参列者の選択で悩む点です。
例えば、家族に限定すれば全く悩むことなく参列者を限定できます。
一方で、親しい知人などを招く場合、どの範囲まで参列いただくかの判断が難しいものです。
故人が事前にどの範囲まで参列を希望するという表明がある場合は特に困らないものの、特に表明がない場合は遺族が選定しなければなりません。
そこで、故人と親しい関係であったと考えていた方に声がかからなかったなど、トラブルに発展する場合があるのです。
可能な限り、生前の段階で家系図や親しい方との関係をまとめたものがあれば、悩むことなく参列者を選定できます。
また、家族葬の場合は葬儀に関して準備すべき項目が少なく、費用が抑えられるメリットがある反面、葬儀後に対応すべき項目が多いのが難点です。
通常、葬儀が終了した後に遺品整理や各種相続の手続きなどをおこなわなけれなりません。
非常に忙しい最中で、訃報を送ったり、参列できなかった方に対して弔問対応が必要です。
一日葬について
より葬儀内容を厳選して執り行う方法として、年々注目を集めているのが一日葬です。
一日葬の特徴やメリット、デメリットは以下のとおりです。
特徴
葬儀の場合、通常は1日目に通夜が執り行われて、2日目に葬儀・告別式の流れで進行します。
一方で、一日葬とはその名の通り一日で葬儀を完了させる葬儀スタイルのことで、具体的には通夜を省略して葬儀・告別式と火葬を一日で執り行う葬儀のことです。
具体的には、以下の流れで合計5時間程度で終了します。
- 葬儀告別式:2時間
- 火葬:2時間
- 会食:1時間
なお、通夜は省略しますがその他の基本的な葬儀の内容は一般葬と同様です。
よって、家族葬のように参列者を限定する事はありません。
通夜とは、故人と最期の夜を過ごす儀式を指し、元々は夜通しで執り行っていたことから通夜と呼ばれていました。
夜通し故人に付き添って、灯明と線香を一晩中絶やさず対応する習わしから、夜伽とも言われます。
通夜に関しては、特に必須であるとは考えられておらず、一日葬のように省略して葬儀が執り行われるケースが増えています。
メリット
一日葬の最大のメリットは、遺族の負担を軽減できる点が挙げられます。
通常、2日間にわたって執り行われますが、気を遣わなければならないシーンが多く、肉体的にも精神的にも疲れるものです。
そこで、単純に葬儀にかける時間を短縮できるため、負担を軽減できます。
また、参列する側としても遠方から駆けつける際には宿泊先の確保が必要です。
一般葬の場合は最低でも1泊分の宿泊先を確保しなければなりませんが、一日葬であれば日帰りで出席できる場合もあります。
一日葬では、葬儀場の確保や参列者のスケジュール調整がしやすいという側面もあります。
以上のように、遺族だけでなく参列者にとって様々な負担を軽減できる点が一日葬の魅力です。
他にも、一日葬の場合は葬儀にかかるトータルの費用を抑えられる点もメリットとなります。
具体的には飲食費用や式場利用費、返礼品の費用を抑えることが可能です。
デメリット
一般葬の場合、葬儀・告別式は出席できないものの、通夜のみに参列してお別れしたいというケースがあります。
一日葬の場合、上記のような対応が取れずに参列するきっかけを奪ってしまう形となるのです。
また、通夜が行われない一日葬は、菩提寺によっては許可が得られない可能性があります。
一日葬は仏教葬儀の手順を一部省略するため、葬儀を執り行った後にお寺への埋葬を拒否されるケースもあるのです。
って、事前に菩提寺に対して一日葬を執り行っても問題ないかの確認が必要です。
他にも、一日葬では通夜を執り行いませんが、地域性や人によっては通夜を執り行うのは当たり前と考えられており、通夜を執り行わないことに反発される可能性があります。
直葬について
直葬は、通夜や告別式などの儀式を一切執り行わず、自宅や病院から遺体を直接火葬場に搬送して、火葬により弔う葬儀を指します。
密葬や火葬式などと呼ばれることが多い直葬の特徴やメリット、デメリットは以下のとおりです。
特徴
直葬は、法令に従い遺体を24時間安置した後に出棺して、火葬する流れで進行します。
通夜や葬儀・告別式などのセレモニーを一切省略する点が最大の特徴です。
直葬であっても、法令上で定められている火葬は死後24時間経過した後に実施しなければならない点は遵守しなければなりません。
ただし、他の葬儀よりも圧倒的に短い時間で執り行われる点が特徴となります。
メリット
直葬のメリットは、やはり費用面で大きく削減できる点にあります。
先に紹介したとおり、一般葬と比較して1/3以下の費用で執り行うことが可能です。
これは、通夜や告別式で必要となる会場費などの費用を一切カットできるためです。
よって、生活に苦しい方でも葬儀が執り行える方法として、広く採用されています。
また、直葬の場合は一切のセレモニーを執り行わないため、遺族の負担を大幅に軽減可能です。
セレモニー当日の対応だけでなく、香典を受け取らない場合は香典返しの対応も不要です。
以上のような対応が不要となることで、故人との最後の時間をゆっくりと過ごせます。
デメリット
直葬の場合、参列者が家族などに限定される場合が多いです。
また、臨終から火葬までの時間が非常に短いため、世間への周知も遅れる傾向があります。
これにより、故人との最後の時間を過ごしたかった知人などが参列するチャンスが失われ、トラブルに発展する可能性があります。
同時に、直葬はかつては生活に困窮されている方が利用する葬儀というイメージが今でも残っており、親族から宗教的な儀式を一切省略した直葬に反発が発生する場合も多いです。
他にも、一日葬と同様に菩提寺によっては許可が得られない可能性があり、納骨を拒否される場合があります。
まとめ
かつては一般葬が常識と思われていましたが、現代社会では家族葬や一日葬、直葬を選択するケースが増えてきました。
最優先すべきは故人の意向となりますが、場合によっては様々な選択肢の中から最適な方法を検討する必要があります。
ただし、実際に検討し始めるとどれが最適か悩むものです。
日本終活セレモニーでは、生前の段階から葬儀に関する様々なサポートを実施していますので、是非お気軽にご相談ください。