身内で亡くなりそうな方がいる場合、どのような形式で葬式をあげるかを事前に確認するケースがあります。
葬式の場合、宗教などによって形式が異なるため、どのような形式で葬式をおこなうかを判断しなければなりません。
もし、キリスト式の葬式をおこなわなければならない場合、どのように実施すればよいのでしょうか。
この記事では、キリスト教のお葬式の特徴を紹介するとともに、仏式との違いやマナー、流れを詳しく解説します。
キリスト教葬儀の特徴は?
キリスト教でも、仏教同様に葬式をあげて故人を供養します。
キリスト教であっても、内容としては仏式に沿って実施するのが一般的です。
キリスト教と一概に言っても、大きくカトリックとプロテスタントに分類されます。
カトリックとは、ローマ教皇を最高指導者として、全世界に13億人以上の信徒がいるキリスト教最大の教派です。
カトリックの場合、葬儀では故人の罪を祓って神に受け入れられること、そして復活を祈るために葬儀がおこなわれます。
一方のプロテスタントは、ルティン・ルターの宗教改革により誕生した、キリスト教の宗派の総称となります。
カトリック教会に反抗し宗教改革をおこなった歴史があり、新教とも呼ばれる場合が多いです。
プロテスタントの葬儀は、主に神への感謝と遺族を慰めるために実施されます。
以上のように、同じキリスト教の中でもカトリックとプロテスタントでは微妙に葬儀の内容が異なる特徴があります。
キリスト教葬儀と仏教の葬儀との違いとは?
キリスト教と仏教において、葬儀自体の大まかな流れに違いはありません。
ただし、死に対する考え方には違いが見られます。
キリスト教においては、仏教などのように死を縁起の悪いものや不幸であると捉えていません。
キリスト教では、死は永遠の命の始まりとして捉え、神の元へ召される祝福すべきものとしているのです。
よって、仏教のように葬式イコール暗いイメージではなく、比較的明るい雰囲気で執り行われるケースが多いです。
また、キリスト教の葬儀では死生観の違いによって、仏式では執り行われる通夜は本リア存在しません。
ただし、日本の風土や慣習に合わせる意味で、通夜と同じような集いを設定する場合が大半です。
具体的には、宗派によって以下のような名称で執り行われます。
- カトリック:通夜の祈り・通夜の集い
- プロテスタント:前夜祭
場所による違いもあり、仏教の場合は寺院で通夜や葬儀を執り行いますが、キリスト教の場合は教会で実施します。
一般的には、故人が所属していた教会において、各葬儀が実施されます。
他にも、キリスト教ではお悔やみの言葉を使用しなかったり、葬儀後の法事が執り行われなかったりする違いがあるのです。
以上のように、大きな違いはないものの、細かな違いがあるためマナーを守って執り行う必要があります。
キリスト教葬儀の流れを説明
先に解説したとおり、仏教とキリスト教では、葬儀の流れなどで若干の違いがあります。
また、カトリックとプロテスタントによる違いもあるのです。
ここでは、各宗派別の葬儀の流れを紹介します。
カトリックの葬儀の流れ
カトリックにおいて、葬儀を始める際には神父を先頭に参列者が入場して開式が執り行われます。
その後、葬儀のミサと呼ばれる、神に祈りを捧げてキリストの血と肉に見立てたワインとパンを全員で食し、信仰心や絆を深める儀式に移行します。
そして、告別式は以下の手順で実施されるのが一般的です。
- 入場
- 聖歌斉唱
- 弔事や弔電紹介
- 献花
- 喪主挨拶
告別式自体の所要時間は90分程度となります。
プロテスタントの葬儀の流れ
プロテスタントの場合、カトリックと違い葬儀と告別式を分けて実施しません。
よって、葬儀と告別式を一緒に執り行うのが特徴です。
また、教職者は牧師と呼ばれており、礼拝で歌う歌は讃美歌となります。
プロテスタントにおける、葬儀の流れは次のとおりです。
- 入場
- 牧師による聖書朗読
- 祈祷や説教
- 弔事や弔電の紹介
- 黙とう
- 讃美歌合唱
- 献花
- 喪主挨拶
- 出棺
葬儀の所要時間は、カトリックより若干短く60分程度で終了するケースもあります。
キリスト教葬儀のマナーを解説
キリスト教の葬儀においても、仏教と同じくマナーを順守しなければなりません。
ここでは、キリスト教葬儀における主なマナーを解説します。
服装について
服装については、仏教と大きな違いはありません。
男性の場合、黒のフォーマルスーツを着用しますが、上着はシングル、ダブルどちらでも構いません。
ただし、パンツの裾についてはダブルの場合は「繰り替し」を意味すると考えられているため、シングルが望ましいです。
ワイシャツはレギュラーカラーの白無地を基本として、ネクタイは黒無地を選んでください。
女性の場合も、基本的に仏教と同じスタイルの服装が望ましく、スーツやアンサンブルなどブラックフォーマルな服装を選んでください。
なお、肌の露出の多いデザインの服装や透ける素材は厳禁です。
あくまでも、シンプルかつ光沢のない素材を選び、ストッキングも黒の薄手のタイプを選択します。
アクセサリー関係はなるべく控えますが、真珠のアクセサリーは涙の象徴と考えられており、失礼に当たりません。
聖歌・賛美歌
キリスト教の葬儀では、仏教とは違い聖歌や賛美歌に参列者が参加する特徴があります。
ただし、聖歌や賛美歌には強制的に参加する必要はありません。
聖歌や賛美歌を聞いているだけでも、特に大きな失礼に当たる行為ではないのです。
ただし、事前に歌や祈りの一節が書かれた紙が参列者全員に配布されるので、なるべく参加して故人に別れを告げるのがよいでしょう。
持ち物について
仏式の葬儀では、数珠をもって葬儀に参列するのが一般的です。
ただし、数珠自体が仏教に由来する持ち物であり、基本的にキリスト教の葬儀では不必要なものとなります。
一方で、キリスト教ならではの持ち物として用意したいのが、ロザリオです。
ロザリオとは、カトリック教会において聖母マリアへの祈りを唱える際に用いる数珠状の祈りの用具です。
ロザリオの祈りは、正確にはミサなどの典礼行為には該当せず、私的な信心業として伝わるものとなります。
ただし、基本となる祈り方が決まっており、珠の数や形状も祈り方に合わせて変化します。
なお、参列者自身がキリスト教徒でない場合、ロザリオは必須ではありません。
あくまでも、キリスト教徒のみがロザリオを用いて祈りを繰り返します。
他にも、仏教と同じくキリスト教の場合も香典を準備しますが、表書きは以下を記載してください。
- カトリックの場合:「御花料」「献花料」「御霊前」「御ミサ料」
- プロテスタントの場合:「御花料」「献花料」
記入方法は、仏教と同じく薄墨色で書くのがマナーとなります。
言葉について
キリスト教の場合、先に紹介したとおり死に対する考え方が仏教とは全く異なります。
キリスト教の場合、あくまでも永遠の命の始まりというスタンスであり、亡くなられたことは悲しいことではあるものの、不幸なこととは捉えていません。
以上から、仏教で使用する「心よりお悔やみ申し上げます」という言葉は基本的には避けるべきです。
「安らかな眠りをお祈りいたします」など、故人の安寧を祈る言葉が一般的となります。
まとめ
キリスト教の場合、仏教と葬儀の進め方などに違いが見られます。
普段、仏式の葬儀に慣れている方でも、初めてキリスト式の葬儀を執り行う場合は、何かと不安を感じるものです。
日本終活セレモニーでは、様々な葬儀に対応しているので、もしお困りのことがあれば気軽にご相談ください。