火葬式とはどんなお葬式のことなのでしょうか?
最近、火葬式や直葬といった新しい葬儀用語が生まれていますが、どんな違いがあるのでしょうか。
実際、火葬式は内容的には直葬(読経もなにもない火葬するだけのもの)と大きな違いはありません。
違いは、お坊さんによる読経があるかないかの違いのみになります。
火葬式は費用や時間を短縮できるというメリットがある一方、様々なデメリットもあります。
この記事ではそんな火葬式について詳しく解説していきます。
火葬式にご興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
火葬式とは?
火葬式とは、冒頭でご紹介した通り直葬と非常によく似た葬儀形態ではありますが、明確に違う点は「僧侶による読経の有無」になります。
直葬は全く宗教儀式を含まないものを指すことが一般的で、火葬式は短時間ですが僧侶による読経があるものを言います。
火葬式という言葉やサービスが生まれたのは比較的最近のことで、「直葬ではあまりに寂しいという要望を受け、せめて火葬の直前の読経だけでもしてあげたい」というニーズに応えるために生まれた形式と言われています。
また、家族葬と同じようなものだと認識していらっしゃる方もいますが、家族葬は直葬や火葬式と違って通夜や葬儀といった「葬送儀式」を伴う葬儀形式となり、通常は葬儀場を利用して執り行われ、家族を中心とした参列者で故人を送る儀式になります。
それでは次の項目で、火葬式の流れや費用、メリットデメリットなどについても詳しく解説していきます。
火葬式の流れを解説
一般的な火葬式の流れは次の通りになります。
①死去
病院や施設でお亡くなりになることが大半です。
②搬送
亡くなられた場所から火葬までの間安置しておける施設に搬送します。
※日本の法律では死後24時間経過しないと火葬ができないため。
③安置
火葬の日時まで安置します。ほとんどの火葬式プランでは、この安置中は故人との対面ができないことが多いようです。
④納棺
故人を棺に納めます。
※③と順番は前後する場合があります。
⑤出棺
安置場所から火葬場に向けて出発します。
⑥炉前での読経
ほとんどの火葬場では、火葬炉の前室(炉前ホールやお別れ室、告別室という名称が多い)で短時間のお別れができますが、その場で読経をしてもらいます。
5分から長くても10分程度の時間となります。
⑦火葬・収骨
火葬を実施し、収骨をして終了となります。
火葬式の平均相場は?
火葬式の平均相場は、18万円~25万円と言われています。
葬儀の平均相場が120万円前後と言われていることから見れば、とても安価にできるように見えますが、実態は直葬と大きな差はありませんし、読経があるといっても正式な葬儀式の読経ではありません。
火葬式のメリット、デメリットとは?
火葬式がとても安価にできるということはご理解いただけたと思います。
しかし、火葬式には費用のことを含めたメリットがある一方、大きなデメリットもありますので、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。
火葬式のメリット
まず火葬式のメリットからご紹介したいと思います。
おもなメリットは次の通りです。
時間を短縮できる
火葬式のメリットの一つとして挙げられるのが、時間を短縮できるということになります。
今までの一般的な葬儀であれば、お亡くなりになってから火葬まで早くて2日、通常は3日~4日ほどかかることが普通です。
しかし、火葬式の場合は死後24時間が経過すればいつでもできますので、最短翌日、長くても2日で簡潔することが可能です。
費用を抑えられる
火葬式は直葬に最も近い形態であるため、祭壇を飾ったり通夜や葬儀を執り行ったり、葬儀場に皆様に参列していただくといった事がありません。
そのため、直葬ほどではありませんが、通常の葬儀に比べて大きく費用を抑えることが可能です。
家族の負担も抑えられる
火葬式は、家族の方と故人の接点が非常に少ない送り方です。
前述したように、通常の葬儀であれば通夜や葬儀といった時間がありますが、火葬式ではそうした儀式を伴う時間は一切ありせんので、葬儀場に出向いたり参列者に挨拶をしたりといった負担はほとんどないと言って良いでしょう。
そうした送り方の良し悪しの議論は別として、故人や参列者との接点が少ないということは、家族の負担を抑えるという見方もできるでしょう。
火葬式のデメリット
火葬式には、費用を抑えたり時間を短縮したり家族の負担を抑えるといったメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
火葬式を考えているのであれば、そうしたデメリットもしっかりとご理解いただいておくことが大切です。
参加する人の範囲が狭い
ほとんどの葬儀社やインターネットの葬儀社紹介サイトでは、火葬式は直葬と並んで最低価格のプランになっています。
葬儀社や安置場によって多少の流れは異なりますが、火葬式では多くの場合、死亡場所から搬送した後は火葬場の炉前でしか故人と対面できないことも珍しくありません。
そのため、火葬場に来れる方だけが参加者となりますので、友人や会社関係の方などに参列していただくことは現実的には難しいことと言えます。
火葬場によっては参加人数に制限がある所もありますので、その場合、家族の中でも参加できない方が出てくる可能性もあります。
周囲の理解を得ることが難しい
火葬式は直葬と同様に「葬送儀式を行わない」形式の送り方です。
葬儀式はもちろん、通夜もありません。
葬儀社や安置場によっては、病院などお亡くなりなった場所から搬送された後は、火葬場まで面会できないことも珍しくありません。
もちろん、経済的な事情や故人の状態が良くないなど、やむを得ない場合もあるとは思います。
しかし、そうした事情をご存じない周囲の方からは
「なぜちゃんと葬儀をしてあげないんだ」
「こんなのでは故人が可哀そうだ」
などとご意見をいただくこともあります。
火葬式をするうえでの注意点
火葬式は、直葬に次いで葬儀費用を抑えることができる方法です。
しかし、前述したデメリットのように、しっかりと故人とお別れをすることが出来なかったり、周囲の方のご理解をいただけないことも少なくありません。
お葬式とは、故人をお送りする儀式ではありますが、同時に残された人達の心に「区切り」を付けるための儀式でもあります。
「ちゃんとしてあげられなかった」
「本当にこれで良かったのだろうか…」
このような後悔の念が残ってしまうと、なかなか心に区切りを付けることができず、日常に回復していくことが難しかったり、心を病んでしまうこともあります。
もちろん、様々な事情で火葬式を選択せざるを得ない場合もあると思います。
その場合は、お願いする葬儀社における火葬式の方法などをしっかり確認し、自分たちが納得できるお別れができるかどうかを見極めるようにしましょう。
まとめ
火葬式は直葬に並んで近年非常に増えている形態の送り方です。
しかし、費用や時間を軽減できるといったメリットがある半面、本来のお葬式とは全く異なるものになりますので、しっかりとメリットデメリットを理解した上で選択することが大切です。